浜町SCIコラム

レックス事件の東京高裁決定を読む(2)少数株主の主張

東京高裁の決定文に記載されている、少数株主(抗告人)の主張を読んでみる。

ア 買取価格の時価算定

(ア) MBOでは、既存株主と安く買いたい経営者との間で、必然的に「利益相反構造」が生じること。
(イ) 2006年8月21日開示の業績予想下方修正は、価格操作を意図したもの。
    8月22日以降の市場価格は、時価算定から除外すべき。
(ウ) 8月21日以前の市場株価は、時価算定から除外する理由がない。
(エ) 以上より、6か月または1年の終値平均である379,592円または402,669円が妥当。

イ 企業価値の増大を反映させる必要

株式買取が行われた2007年5月9日時点では、旧レックスは構造改革・リストラにより膿出しを行い、企業価値を増大させている最中だったから、その増大分を勘案すべき。
現レックス・ホールディングスは、事業計画の提示を拒否しており、数値での検証ができない。
そこで、代替として、AP8の設立日の旧レックス株価を勘案する。
設立日の319,000円または、6か月平均385,508円を下限とすべきだ。

ウ 強制取得により失われた期待権の価値を考慮した「公正な価格」

現レックスは、やむをえない理由もないのに、少数株主の意思に反して、保有株を強制取得した。
このような場合の「公正な価格」の決定では、
 ・株式の時価

 ・強制取得により侵害された期待権の対価
を加算すべき。

旧レックスのTOBでは、議決権の91.51%にあたる株主が応じたものの、それは、
 ・上場廃止
 ・TOBに応じなくとも、1株230,000円で強制取得すること
 ・配当を0にすること
 ・株主優待の廃止
などを発表し、「強迫的に」行われたものである。

AP8以外には、デューディリジェンスを行っておらず、TOBも実施しなかったから、TOB価格は、期待権の価値を織り込んだものとは見れない。

現レックスが事業計画を公表しないため、期待権を計算することはできない。
そこで、同時期のMBOの事例を見ると、前1年間の終値の最高値を上回り、かつ、1年間の終値平均を30%程度上回っている。
よって、「公正な価格」は、500,000円以上であるべき。

エ TOB価格

旧レックスのMBOでは、
 ・複数の投資ファンドの間での価格競争も
 ・独立委員会の設置も
なかった。
AP8設立時の終値319,000円をはるかに下回る230,000円は、「公正な価格」と見ることはできない。

実際の株価評価をどうするかは別として、旧レックスのMBOの意思決定が株主不在で行われた様子が伺われる。
そもそも、構造的に利益相反が生じざるを得ないMBOにおいて、公正さを確保する努力が不足していた感は拭えない。

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カテゴリー: 投資

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この記事は 2008 年 12 月 9 日 火曜日 9:11 PM に 投資 カテゴリーに公開されました。 この記事へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。

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