浜町SCIコラム

みずほ銀行とネット証券の問題はシステミック・リスクを生むのか

未曾有の大地震にあっても、日本経済は揺らいでいないように見える。
真実は、大地震・原発事故の陰に隠れて、経済のリスクは急増していると見た方がよさそうだ。

腰を折るみずほ銀行のシステム障害

15日からみずほ銀行がシステムの障害に苦しんでいる。
銀行を責めるのはよそう。
注視すべきは、その影響だ。
震災によって、ただでさえ企業等の財務環境は不透明になっている。
そこで、銀行のシステム・ダウンによって決済ができなくなるというのは、あまりにも厳しすぎる。
中小企業などでは、支払ができなくなるなどの事象も出てこよう。

今回の問題は銀行の健全性に根付いたものではないが、システミック・リスクについても、楽観はできないだろう。
一金融機関の決済不履行が発端となり、ドミノ倒しのように決済不履行が連鎖するリスクだ。
通常の環境ならば揺るがない金融システムでも、大災害という環境要因のもとでは、どのように作用するのか不透明だ。

3月の決算期を控え、個別銘柄のリスクも大きくなる

大地震はさまざまな影響を企業に与えている。
直接の施設の被害のほか、保険会社への負担、資産価格の下落など、枚挙に暇がない。
決算期もすぐに控えている。
地震の影響で、株式を初めとする多くのリスク資産において価格下落が予想される。
期末の状況いかんでは、無数の企業が評価損を計上する可能性も否定できない。

ネット証券3社の不足金の発生は限定的

株価急落の影響で、ネット証券に相次いで不足金が発生した。
オプションなどのデリバティブや信用取引によるもののようだ。

現状のところ、各社の体力で十分にカバーできる規模だ。
しかし、
 ・リスク低減を図ると収益機会も少なくなる
 ・震災の影響で、別の問題が顧客に発生するリスクもなくはない
などの注意は必要だろう。
証券会社も金融システムを担う重要な構成員であり、揺らぐことがあれば、システミック・リスクを発生させかねない。

注目されないまま進むマネタイゼーション

大地震の発生とともに、日銀はすばやく動いた。
流動性を市場に提供し、システミック・リスクの発生を防いだ。
これまでのところ、とてもうまくいっている。
18日にも追加で11兆円の資金供給を発表し、うち5兆円は「リスク性資産」を中心に買い入れを行うという。
すばやい、思い切った施策である。
これは素直に評価すべきだ。

一方で、さしたる議論もないまま、巨額のマネタイゼーションが行われたことになる。
5日間で総額82兆円のマネタイゼーションである。
2月のマネタリーベース平均残高101兆円と比べても、極めて大きな金額だ。
国家予算(来年度予算案92兆円)にさえ匹敵する規模のマネタイゼーションがどのような副作用を呼ぶのか。
スタグフレーションの危険は高まってきている。

カテゴリー: 経済

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この記事は 2011 年 3 月 19 日 土曜日 4:04 PM に 経済 カテゴリーに公開されました。 この記事へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。

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