浜町SCIコラム

レックス事件の東京高裁決定を読む(5)現レックスの敗因

東京地裁では現レックス側の主張を認めたのに対し、東京高裁の判断は、会社の提示価格を上回る価格を相当とした。
東京高裁でのレックスの敗因は何だったか。

まず挙げられるのは、現レックス側が株価算定評価書を提出しなかった点。
これにより、裁判所は、その裁量において株価を算定することになった。
不提出が及ぼした影響は、
 ・裁判所に算定の根拠を与えなかったのみならず、
 ・株主への説明が足りなかったとの見方につながった
ものと見られる。

決定を読むと、旧レックスは、TOBに賛同するに先立ち、アビームM&Aコンサルティングに株価算定を依頼している。
なぜ、現レックスはこの株価算定評価書を提出しなかったのか。
考えられる理由は2つ:
 ・アビームM&Aコンサルティングが拒絶した。
または
 ・現レックスに不利になる内容だった。
のいずれかだろう。
前者ならば、株価算定について、Fairness Opinionとして利用させることを許すだけの確信がなかったということだろう。
後者ならば、旧レックスとAP8が、何か不誠実なことをしたのではないかという疑問を禁じえない。
事実、裁判所は、現レックス側に悪い心証を持ったようだ。
いずれにせよ、係争になった時に証拠とならないような株価評価算定書にどのような意味があったのだろう。

また、2006年8月21日の業績予想下方修正のプレスリリースへの見方も逆風だった。
地裁では大きな論点にならなかったが、東京高裁では、株価を下方誘導する意図を否定できないとされた。
もしも意図的であれば、すなわち、現レックス側による既存株主に対する背信行為ということになる。
意図的と認定こそされなかったが、「否定できない」とされてしまった。

レックスのMBOでは、会社に独立委員会も設置されず、意思決定は密室で行われた。
MBOを行う会社側の配慮が足りなかったと言うよりほかはない。

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カテゴリー: 企業
この記事は 2008 年 12 月 11 日 木曜日 7:55 PM に 企業 カテゴリーに公開されました。 この記事へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。

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