日銀:2%の物価目標が達成できなかったワケ

日銀が2日、9月の「総括的検証」の補足として『なぜ2%の「物価安定の目標」を2年程度で達成できなかったのか?」と題する検証ペーパーを公表した。
この中で、期待に働きかける政策の効果が不十分であったことを認めている。 (浜町SCI)

物価目標未達の要因を定量分析

2013年4月に始まった異次元緩和は、2年程度のうちに物価上昇率を2%に引き上げることを目標としていた。
ある程度経済は好転しデフレは脱したものの3年半以上経っても物価目標の実現は遠い。
CPIは2014年度+0.8%(当初見通しは+1.4%)、2015年度±0.0%(同+1.9%)と大きく下振れた。

日銀のペーパーは、「なぜ、世界に類例のない大胆な金融緩和にもかかわらず、2015年度に2%の『物価安定の目標』を実現できなかったのか」を「客観的かつ定量的な実証分析」で明らかにしようとしたものだ。
客観性を保つため、主観の入る経済モデルを用いず、あえて単純な4変数(消費者物価・需給ギャップ・為替レート・原油価格)によるVARを推計し、ヒストリカル分解で要因分解を行ったという。
この4変数は、日銀政策委員が当初もくろんでいたリフレ要因を反映したものだ:

  • 需給ギャップ改善: 緩やかに物価を押し上げ。
  • 原油価格下落: 前半悪影響が残るが、後半に剥落。
  • 当初の大幅な円安: 持続的に物価を押し上げ。
  • インフレ固有の要因: 持続的に物価を押し上げ。

最後のインフレ固有の要因とは、他3つでは説明できない要因を指したもの。
「これには、例えば、制度要因を背景とする公共料金の価格変更などに加えて、外生的なインフレ予想の変化(例えば、インフレ目標引き上げによるフォワードルッキングなインフレ予想の上昇)も含まれる」としている。
公共料金はすぐには上げられないし、日本人の物価観は思いのほかバック・ワードルッキング(過去に引きずられる)だったという話に続く部分である。

原油安が要因の半分

日銀には当初こうしたもくろみがあったのだが、目標は達成されなかった。
何が足りなかったのか。
2015年度の未達分-1.9%についての定量分析の結果はこうだ:

  • 需給ギャップ: -0.3%
  • 原油価格: -1.0%
  • 為替: -
  • インフレ固有要因: -0.7%

つまり、一番大きかったのは原油価格の下落、及第点は円安というわけだ。

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