【グラフ】日本株CAPEが役に立たないワケ

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が開発した「シラーのCAPE」。
教授は米国株について有用性が高いと胸を張るが、では日本株ではどうだろう。

弊社では東証一部の単純株価平均、EPS、消費者物価指数(総合)を用いて毎月CAPEを計算している。
これまでもいく度か日本のCAPEの推移グラフを示し、同指標に割高感は見られないと紹介してきた。
弊社の計算は精緻とは言えないが、大まかな傾向はつかめたはずだ。
しかし、そうした解釈もそろそろ考え直さなければいけない。

米国株CAPEが「いらだつほど高い」

こう考えたきっかけは、本家シラー教授による米国株のCAPEの動向だ。
CAPEが30に近づきつつあり、この水準は大恐慌前とITバブルの頃に次ぐ高さだ。
すでにサブプライム/リーマン危機前の水準を超えているのだ。

これが、市場関係者、とりわけ債券投資家の不安感を煽っている。
シラー教授自身、CAPEが株価変動の「いつ」を教えてくれるものではないと話している。
米国株は下落する可能性が高いが、それがいつかはわからないというわけだ。
こうした議論が浸透していく中で、日本株の投資家にも日本株のCAPEへの興味が湧くのは自然な話だ。

日本株CAPEの解釈には要注意

日本株のCAPEはどれだけ有用だろう。
実際のデータを見てみよう。

東証一部のCAPE

これを見てわかることは、日本株のCAPEには山谷が多くないということ。
リーマン危機前に大きな山があるように見えるが、株価の山はそれほど大きくない。
この大きな山は株価の影響もあるが、それ以上に(ITバブル後の)損益の低下が効いているのであろう。
2007年のCAPE計算には1997-2007年の10年間の損益が用いられるため、こういうことが起こる。

つまり、2007年の高いCAPEはリーマン危機による株価下落を予想したというより、ITバブル後の異常値を拾ったに過ぎないということもできる。
もちろん、CAPEにはこうした異常値も含んだ経験則としての価値があるのだが、異常値があまりにも異常だといわば騙しが入ってしまう。
逆に言えば、将来CAPEが危険なほど高くなるとすれば、それはもしかしたら株価が上がった時ではなくて、損益が悪化した時になるのかもしれない。
そうなってしまうと、CAPEは先行指標としての指標性を失ってしまう。

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