【輪郭】試されるリフレのロジック

12日のジャネット・イエレンFRB議長の議会証言はハト派的と受け止められ、米市場は株高・ドル安で反応した。
証言がハト派となった背景には米経済の日本化、米エコノミストの変心を感じさせるところがあった。

「最大の雇用・物価安定を達成・維持するため、経済発展が時間をかけた緩やかなFF金利引き上げを可能にするとFOMCは予想している。
この予想は、FF金利が中立金利(FF金利が拡張的でも緊縮的でもなく、経済の安定を維持する水準)よりやや低いところにあるとのFRBの見方に基づいている。
中立金利は現在歴史的標準より相当に低いので、中立的な政策スタンスを実現するためにさらに大幅にFF金利引き上げを行う必要はない。」

イエレン議長のこの発言が端的にハト派的な性格を表している。
「時間をかけた緩やかな」といった強調が市場関係者にゴルディロックスを連想させ、金利低下・株高・ドル安に結びついた。
ただし、話は《ゆるい領域》では終わらない。

趨勢的停滞を連想させる

「現在中立金利を押し下げている要因が時間とともにいくらか減少すると期待されるので、経済拡大を維持しインフレを2%目標に回帰させるため、追加的・段階的利上げが今後数年適切となる可能性が高い。
そうであってもFOMCは引き続き、長期の中立的FF金利が過去数十年の支配的水準より低い水準にとどまる可能性が高いと予想している。」

FRBはサブプライム/リーマン危機の傷が癒えたと思うから金融政策を正常化しようとしている。
ところが、傷が癒えたとは言え、経済はサブプライム以前には戻らないというのだ。
趨勢的停滞論、New Normal、あるいは日本化を連想させる議長発言なのである。

金融緩和のリフレ効果に疑問

FRBは、内外の経済活動の活発化が労働力など資源の稼働率を押し上げ、賃金と物価を上昇させると予想している。
しかし、そうした経済見通しには当然のことながら不確実性がともなう。
イエレン議長が議会証言で真っ先に挙げた不確実性要因がこれだ。

「たとえば、資源の稼働率の引き締まりに対してインフレがいつどれだけ反応するかだ。」

《金融緩和 → 雇用改善 → 物価上昇》というメカニズムにFRBが自信を失っている。
タイム・ラグだけならまだしも、感応度にまで疑問を呈している。

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