【輪郭】日銀追加緩和はありうるか

今後も日本経済とりわけ物価動向は日銀の思うようにならない展開も起こりうる。
だいぶ聞かれなくなったが、日銀の追加緩和の可能性は今後もありうるのだろうか。

「13年4月に公表された金融緩和政策が実質金利の低下と期待インフレ率の上昇をもたらしたとはいいがたい。
実質金利の低下や期待インフレ率の上昇は、2011年半ばごろから起きてきた。
・・・
本銀行の金融緩和政策の期待インフレ率の上昇や実質金利の低下に貢献した程度は限定的であったといってよい。」

一橋大学の齊藤誠教授が全国銀行協会の金融調査研究会報告書の中で書いている。
日銀のQQEをほぼ全否定するような書きぶりだ。
説明のための3つの図表で使われているのが、浜町SCIが月次で公表している物価連動国債の利回りである。

体温を示さなくなった金利

浜町SCIでは毎月、日米の金利・為替データ等を使いやすくCSVに出力したものを公表している。
アクセス・ログを見る限り、定例的に多くの政府機関・研究機関・金融機関でご活用いただけているようで幸いだ。
収益事業ではないゆえに、しばしばサービス終了の話題が出るのだが、なんとか生きながらえている。

このサービス、元々は弊社調査部がデータを調整し、コンサルティング部が顧客の依頼に応じて配布していたものだ。
その後、運用部門が稼ぎやすい環境になるにしたがい、弊社は事業の重点を運用に回帰させた。
コンサルティングの仕事は最小限に絞り込んだが、このデータだけは過去の顧客向けに配布を継続していた。
もともと無料の付随サービスだったので、それを機に一般にも公開したものだ。

かつて日本の金利にまだわずかながらも意味があった頃、月次で金利と期待インフレについてコメントを公表していた。
しかし、それもQQEの比較的早いうちでやめてしまった。
最大の理由は、日本の金利が日銀によって事実上統制されるようになったためだ。

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