浜町SCIコラム

電力事業のガラパゴス化が代替エネルギーの足を引っ張る

日本市場は何かと高付加価値・高価格の市場だ。
海外と異なる性質を持つこの市場の特徴は、最近、ガラパゴス化と呼ばれている。

電力事業もガラパゴス化が言われる市場だ。
この市場のガラパゴス化は、技術的側面だけで形成されたものではない。
むしろ、ビジネス・マターによって生み出されたものと言った方がよかろう。

昨年9月、中部電力が日立に対し、浜岡原発のタービン事故について、418億円の損害賠償請求訴訟を起こす見込みであることが、驚きを持って報じられた。
一見当たり前のことのようだが、それまでの商習慣からすると驚くべきことだったのだ。

電力会社と設備を納入する重電メーカーとの間の契約には、当然、瑕疵があった場合の損害賠償の定めが書かれている。
そして、その賠償の範囲は極めて広い。
海外での決め方よりも広いという。
しかし、商習慣では、実際にこの賠償が請求されることはなかった。
また、訴訟によって解決することもなかった。
日本のコミュニティらしく、契約によらず、話し合いで低めの示談金で解決するのが通例だった。
その通例からして、訴訟とされたこと、418億円のカバーする内容(火力で代替したことによる費用)が異例だったのだ。
電力会社は今回、初めて契約書にのっとり損害賠償を請求したということのようだ。

外資系企業は契約を重んじるから、「契約書は形だけ」と言われても信じられない。
現実に、契約書どおりに損害賠償を請求される事例が出てきているのだからなおさらだ。
結果、非関税障壁だと文句を言うことになる。
一方、外資系企業の参入がない中で、国内市場はガラパゴス化を起こす。

問題は、代替エネルギーと呼ばれるものの未来だ。
代替エネルギーによる発電量を、系統と全く遮断された系で使用しつくすのはまれだ。
出力が大きくなるほど、系統との連携が効率的な電力使用のカギになってくる。
その系統側がガラパゴス化することへの恐怖感は大きい。
系統側の日本の特異性が、代替エネルギーの海外向け技術の成長の妨げとなる可能性はゼロではないだろう。
分かりやすく言えば、海外の代替エネルギー向け電機システムに求められているのは、安くてまあまあなシステムなのかも知れない。
あまりに洗練された日本メーカーは、優れているゆえに取り残されてしまう、そういうことがないよう祈りたい。

カテゴリー: テクノロジー
この記事は 2009 年 7 月 3 日 金曜日 8:37 PM に テクノロジー カテゴリーに公開されました。 この記事へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。

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