日本政府の資金繰りに暗雲

個人向け国債が売れない。
5年ものの金利が0.8%というから、個人の資産運用にとって魅力がなくなるのも無理はない。
個人マネーが、銀行預金に傾いている。
債券利回りも銀行預金金利も底を這う中、わざわざ長期固定の国債に投資する必要はないということだろう。

立場を変えて、日本政府の側からすれば、これは由々しき事態と言える。
景気が未曾有の減速を見せる中、日本政府には金が要る。
法人税は減り、歳入は細る。
政策金利は底に貼りついているから、財政出動しか景気刺激策が取れない。
国の歳入は減っても、歳出は増えざるを得ない。
ところが、国債が売れない。
民間企業なら、資金繰り破綻を意味する状況だ。
国債を売らなければいけないから、機関投資家に販売することになる。

個人が銀行に預けた預金はどうなるのか。
それは、銀行のバランスシートを見ればよく分かる。
現在の日本企業の成長性は高くない。
良質の資金需要は少なく、むしろ、借金を返したいと思っている会社が多い。
だから、銀行の本来の儲け口である法人融資は伸びない。
住宅ローンも伸張を期待はできないから、集まり過ぎてしまった預金は、国債で運用している。
つまり、銀行は、個人から預金を預かり、国債を買っている=国に金を預けている。

恐ろしいのは、金利上昇だ。
国債の需給が悪化すれば、金利上昇=価格下落が起こる。
すると、バランスシートに巨額の国債を抱いている銀行は、大きな評価損を被ることになる。
国債を持ちすぎたために銀行が損失を計上するというような妙なことが起こりかねない。

本来ならば、日本国債は米国債と同じように、外国人にも買って欲しい。
しかし、どうやら、それほどの魅力はない国債らしい。
日本国債は日本人が持っているから、国の借金が増えても、円安の要因になりにくい。
輸出国である日本にとっては、円安は歓迎してもいい現象なのにである。

日本の市中金利上昇は、そう遠くないうちに始まるのかも知れない。

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