日本電産と東洋電機製造の神経戦(1)神経戦の火蓋

鉄道向け電機品のメーカー、東洋電機製造は、9月16日に、買収戦略で拡大を続けるモーター大手、日本電産から買収提案を受けた。
日本電産としては、このように買収提案を公開して行うのは初めてのことだ。
その理由は、東洋電機製造の買収防衛策にあった。

授受された提案書の有効期限は12月15日とされており、そのタイミングをめどに結論が出るのかも知れない。
ここでは、両社の適時開示資料を読み、神経戦の様子を覗いてみよう。

2008/9/16 日本電産からのリリース

「資本・業務提携に関する提案書」を東洋電機製造に提出したと開示した。
東洋電機製造は7月14日付で、買収防衛策の導入を公表しており、日本電産は、この買収防衛策に沿った手続きをとるとした。

日本電産は、東洋電機製造株式全株をTOBにて買い付けることを想定している。
 買付価格: 635円(9/12付終値305円に対して108.2%のプレミアム)  (9/16終値は285円)
 計算根拠: EBITDAの14.9倍
 買付予定: 50.1%以上、上限なし (総額148?295億円)
 提案の有効期限: 12/15

社会における環境意識が高まる中、東洋電機製造が得意とする鉄道分野に加え、自動車分野においても、共同によりNo.1のモーターメーカーになろうというコンセプトだった。

リリースに添付されている提案書は、極めてコンパクトかつコンプリヘンシブだ。
ただし、トーンは、従来の日本電産のそれではない。
日本電産の財務アドバイザーである大和証券SMBCが代書したのではないかと勘ぐりたくなるようなものだ。
その邪推からか、日本電産が鉄道分野に興味があるというのにも、額面のままには受け取れないものを感じた。
回転機業界の人たちからは、日本電産の本当の狙いは、車載モータ(主機)にあるのではないかという声が聞かれた。
また、投資銀行筋からは、日本電産がEVのモータ主機に進出する強い希望を持っているという噂話も聞こえてくる。
近い将来、とある自動車メーカーを買収するのではないかという観測さえあるほどだ。

2008/9/16 東洋電機製造からのリリース

日本電産からのリリースを受けて、「提案書」を受領し、買収防衛策に基づいて検討を始めたと開示した。

日本電産のオファーした1株あたり635円というのは、第三者から見れば破格のオファーだ。
東洋電機製造が独立路線を願ったとしても、経営陣は、日本電産のオファーを排除するための十分な論拠を示さなければならない。
さもないと、単なる保身ととられてしまい、取締役の忠実義務違反になってしまうからだ。

この提案書の授受から、両社の神経戦が開始されることとなった。

>>(2)質問状とその回答