先を行った日本、後を行く日本

本日の日本経済新聞朝刊に、短い、しかし、胸を突く記事があった。
米国共和党の下院議員が提出した法案についてだ。

記事によれば、

米共和党のマイク・ペンス下院議員は16日、米連邦準備理事会(FRB)の政策目標について、物価の安定だけに専念するように変更する法案を提出した。
FRBは現在「物価の安定」と「雇用の最大化」という2つの政策目標が与えられているが、「雇用は議会や大統領の仕事である」と主張した。
・・・
共和党のコーカー上院議員も「中央銀行には幅広い政策目標よりも、インフレを低く保つという明確な目標を与えるべきだ」と指摘している。

たった4文の記事だが、なんとも身につまされる話だ。

日本はバブル経済を経験し、バブル崩壊を経験したという意味で、皮肉にも世界の先駆者であった。
そして、日本で長く続くデフレは「ニューノーマル」という言葉を生むほど、現在の欧米に恐れられている。
デフレでも日本は先駆者であった。
しかし、今、日本は再び米国の後塵を拝すことになるのかも知れない。

現在、米国FRBは物価とともに雇用まで責任を持たされている。
これは、中央銀行の果たすべき役割から逸脱し、その効率的な運営を阻害するかも知れない。
FRBは物価の安定のみに集中することで、その規範と効率を守るべきで、雇用というような問題は本来、政府が責任を持つべきものだろう。
大きな政府の中で、物価と雇用という2つのテーマを捉えたとき、結局のところいずれのテーマも政府が責任を負うべきものだ。
しかし、運営の効率と規律を考えれば、テーマを混同せず、別個の組織に分かれて運営することが望ましいという考えが共和党議員の中にある。
それはそのとおりだろう。

振り返って日本はどうか。
政府も世論も、日銀に通貨の番人の枠を超えて、経済成長まで責任を追わせようとしている。
かく言う筆者もその一人だ。
無理のある議論であることも承知の上で、こう言っている。
やはり経済成長の責任は本来、狭義の政府にあるべきだとも思う。
だからこそ、HSCIではこの財政破綻寸前の国家に、財政支出すべきと言って来た。
しかし、現在国会で審議中の補正予算に十分な力はない。

米国は日本より15年遅くしてバブル崩壊を向かえ、2-3年の間に回復基調に戻ろうとしているのか。
共和党議員の法案の意味するところは、そういうことなのか。
それとも、回復基調に戻りつつあるいう見方は誤りで、日本のバブル崩壊時のように、二番底を迎えるリスクを高めるのか。
先日紹介したジェレミ・グランサム氏の予言はこうして実現するのだろうか。

PIMCOの将来予想が興味深い。
ニューノーマル論を提起したPIMCOが言うのだから、説得力は強い。
これが実現するなら、米国は日本の5-10倍近いスピードで逆境から立ち直ることになる。