ロイターが教えてくれるリスク・オフの円買いの本当の理由

Reutersが「為替コラム」として「ドル/円、新興国市場急落などで100円割れも」という記事を掲載している。
Reutersは、日本のエスタブリッシュメントに受けが悪そうな記事を「ブログ」や「コラム」として掲載する傾向があるようで、実はこちらの方が本質的な指摘であることが多い。

記事のロジックは単純明快だ:

 国内投資家はこれまで国内の低金利を嫌って新興国に投資してきた
 昨今の新興国通貨・経済・政府の混乱で、巻き戻しが起こっている
 この巻き戻しが円買いとなり、円高に動きかねない。

なるほど筋がすっきりと通っている。

 リスク・オン → 株高、円安
 リスク・オフ → 株安、円高

と言われるようになって数年が経つが、そもそも、世界一脆弱な財政を抱える日本の通貨、しかも、世界一大胆な緩和政策を取る通貨がリスク回避の対象となるはずがない。
特に、ドル円で言えば日米の比較になる。
米国より日本が低リスクというロジックには到底無理がある。

リスク回避のために円を買うとは、日本人がリパトリエーションを実行している結果ではないか。
リスク・オフの円高は、日米間の金融投資のアンバランスが起こす現象なのではないか。
その方が、ロジックとして自然なように思う。
(もちろん、市場はそんな妥当性より、噂に追随しているだけだ。
 資金移動があるわけでもなく、単にポジションが行ったり来たりするだけだ。
 逆の噂が多数派になれば、彼らは喜んでそちらに宗旨替えするだろう。)

Reuters記事は

円相場は来月中に対ドルで再び100円を突破する可能性がある

と終えているが、これが的中するなら他にも予想すべきことがある:

 日本株が売られ、株価が下げる
 円債が買われ、金利が下がる

日本人がリスク回避したいなら、本来向かうべき対象は米国債のはずだ。
世界一の信用格付を有し、流動性も高く、足元ではドル高が予想されている。
しかし、

日本の投資家はおそらく、利回りが2.62%程度では米10年債を大量に抱え込もうとはしないだろう

とReutersは切って捨てる。
Reutersの不吉な予想が当たるなら、再び日本人は投資難に苦しむ。
そこでの対処法は

 持ちたくないが、円キャッシュを持ち
 日本株や外貨が底を打つのを待つ

ということだろう。