日本電産と東洋電機製造の神経戦(6)会うのか、会わないのか、遠回りな買収交渉

企業買収において重要なことの一つは、優秀な役員・従業員を獲得することにある。
買収できても、優秀な人材が逃げていってしまうのでは、企業の価値は大きく損なわれる。
だからこそ、世界的に見ても、敵対的買収の成功は極めて稀な現象なのである。
東洋電機製造と日本電産の例では、この先、完全に「友好的」なM&Aとはなりえないようだ。
両社が会う、会わないで言い争いをするようでは、最後まで進む可能性は皆無に近いように思えてしまう。

2008/11/28 東洋電機製造よりのリリース

日本電産からインタビューを事実上拒絶されていたため、再度、要請する書簡を交付したと公表。
インタビューでは双方向にならないと日本電産から指摘されたのを受けて、インタビューにおいて説明を依頼する事項を
 ・労務及び財務上のシナジーに関する事項
 ・技術に関する事項
 ・経営方針等に関する事項
の3つに分類し、それぞれの項目について双方の担当者によりインタビューを実施する旨を通知した。

また、同日、東洋電機製造の独立委員会より日本電産と東洋電機製造に対して、三者での面談の実施に関する提案を受けたとも公表した。

2008/11/28 日本電産よりのリリース

東洋電機製造より、インタビュー要請の書面を受領したことを公表。

また、同日、上記の書面受領に先立って、東洋電機製造の独立委員会より、「三者によるご面談の呼びかけ」と題する書面を受領したと開示。
この独立委員会からの書面では、「情報提供完了通知の前の段階ではあるものの、速やかに、東洋電機製造の各種ステークホルダーの利益を損なうことのないよう、独立委員会として本提携に関する提案を審議する必要性」が訴えられており、「論点の相違点についての考えなど」について、東洋電機製造と日本電産双方から話を聞きたいとされているという。
この独立委員会よりの要請を受けて、日本電産は、指定日の年12月5日に日本電産社長ら3名が、指定の開催場所に赴くこととした。
東洋電機製造より要請されているインタビューによる説明については、この「三者面談」の結果を踏まえて、あらためて判断したいとしている。

2008/12/2 東洋電機製造よりのリリース

独立委員会より提案された三者面談に応じる旨を公表。
独立委員会提案の内容は、
 ・独立委員会として関心の高いテーマについて論点の相違点に関する考え方
 ・今後の両社の応答の進め方
について双方からヒヤリングしたいというものだったとした。
東洋電機製造からは、社長ら3名が出席する。

この三者面談は、あくまで、独立委員会による日本電産と東洋電機製造に対するヒヤリングを目的としている。
一方で、東洋電機製造が要請しているインタビューは、「株主及び投資家の皆様のご判断のために必要かつ十分な情報の提供」を受けたいとするもの。
よって、三者面談とは別途に、インタビューを実施するよう日本電産に対して要請しているという。

このM&A交渉で、ようやく片目が開いたということか。
面談の目的こそ異なるが、とにかく、両社経営陣が合うことが決まった。
独立委員会が「応用動作」で活躍し、その機能を果たしたと言っていいだろう。
投資家たちは、この面談が、前に進むきっかけになるのか、固唾を呑んで待っていたに違いない。
しかし、絡まった糸は、そうは簡単に解けそうにない。

(5)対決姿勢が鮮明に<< >>(7)手続き論に終始する日本電産