日系商社による中国企業向け投資の危うさ

「大手商社が中国で新興企業向け投資を本格化する」と日本経済新聞が報じている。
このニュースに首をかしげたのは筆者だけだろうか。

資金が逼迫している地域への投資ならまだしも、流動性の行き場を探してバブルの兆候さえある中国に日本の商社が投資をするという。
IPOブームが続く中国で新興企業に投資してキャピタルゲインを狙うということのようだが、何を勝算にしているのだろう。

投資ファンドとしての最も重要な3点は、
 ・いい企業を探す力
 ・安く買う力
 ・企業価値を高める力
であろう。
三井物産は最近、中国の製薬会社に投資し、「要望があれば日本の製薬会社との提携など仲介も手掛ける」という。
しかし、この程度のバリューアップの話は、投資ファンドならあまねくやっていることだ。

中国は成長しているから、平均でも十分儲かる、といった考えなのか。
そうだとすれば、まるで80年代後半の日本のような話だ。

日本のマネーベースは包括緩和もあり、拡大を続ける傾向にある。
しかし、その資金は日本国内のリスク資産には向かわない。
日本国債や海外に向かっている。
それが、日本のリスク資産の価格上昇を妨げ、さらに人気を落としてしまう。
中央銀行が社債を買うほどに、日本の資産価格は低位にある。
しかし、国内におけるエクイティ投資の主役である商社は、成長機会を海外に見ている。
デフレとは恐ろしい。

逆に日本のリスク資産が価格上昇を始めるのも困りものだ。
価格上昇が本格化すれば、国債が売られてリスク資産が買われるような時期もあるかも知れない。
国債は持つのか
国債が売られれば金利が上がるから、リスク資産の価格上昇も収まる、と見るのは、あまりにも楽観的すぎないか。
神の見えざる手だけでは経済が安定しないのは、混合経済に生きる者のコンセンサスではないか。

そう思えば、日本人が外国の資産を買っているうちは、まだ傷が浅いということのようにも思えてくる。