優先順位を知らない政権(1)内閣の不適格と小沢氏の証人喚問

政治とは優先順位づけだ。
やらなければいけないこと、お金のかかることは山ほどある。

その中で何を先に取り上げるべきかの判断力、これこそが政治家の器を示すものだろう。
現在の政治で
 ・問責決議を受けるような閣僚を温存する内閣
 ・訴追が決まっている一兵卒議員の政治と金の問題
どちらが大切なものであるかは、政治家ならずとも理解しているところではないか。
しかし、現首相・現内閣・現民主党執行部には、その判断さえついていない。

小沢氏については刑事訴追が決まっている。
しかも、訴追されることに至ったのは、法的に適正であったかどうかもわからない検察審査会の議決によるものだ。
東京第5検察審査会が2度目の起訴相当の議決をしたことで、小沢氏は起訴されることとなった。
これに対し、その2度目の議決では、

 小沢氏からの借入金4億円の記載がないことを「犯罪事実」に追加した
 (毎日新聞の記事より)

として、小沢氏側は行政訴訟を起こしている。
この行政訴訟は最高裁でも棄却されているが、その理由には特筆すべきものがある。

決定で小法廷は
「検察審査会の起訴議決や検察役弁護士の指定の適否は刑事裁判で判断されるべきだ」
と指摘した。
(毎日新聞の同記事より)

つまり、起訴議決が適法であったかどうかの判断は、行政訴訟で行うのではなく、刑事訴訟で行うべきという決定なのである。
年明けに始まる刑事裁判では、その「犯罪事実」の認定を議論する以前の話として、起訴議決の有効性から争点となるであろう。

いずれにせよ、小沢氏の裁判は行われる。
過去、刑事被告人となりうる証人が喚問された際には、
 「刑事訴追の恐れがありますので証言を拒否します」
などの答弁が連発され失笑を買ってきた。
「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律」の第4条を見ると、

第4条 証人は、自己又は次に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
 一から三(略)
2 (略)
3 証人は、宣誓、証言又は書類の提出を拒むときは、その事由を示さなければならない。

とある。
これに基づく証言拒否だ。
小沢氏の場合、刑事訴追されることが決まっているから、証人喚問になっても、このエクスキューズがある。
いかに
 ・国会議員だ
 ・補佐人(弁護士から選任される)がつく
とは言え、刑事被告人(またはそうなる可能性のある人)の権利は権利だ。
特に、国会は法廷ではないから、論点を拡大しすぎた質問、事実に基づかない発言、誘導、不規則発言などがありがちになる。
議院証言法第4条を認めないわけにはいかない。

それでは何のための証人喚問か。
単なる1政治家のつるし上げのための予算委員会になってしまう。
それが今の政治の優先順位なのか。

筆者は、内閣改造と小沢氏による国会での説明が望ましいと考えている。
しかし、これには小沢氏も感傷的になっているように見える。
遠めの味方を切って身内だけで生き延びようとする現政権に対して、強い敵愾心を持っているのは想像に難くない。
自公が主張しているように、証人喚問だけで国会の正常化は望めない。
国会の正常化のための地ならしはしないと(岡田幹事長が)言うなら、証人喚問は予算委員会を使った個人のつるし上げでしかない。
これまでのところ、証人喚問の目的は4億円の原資の素性を明かせという話がもっぱらだ。
これでは、
 他の政治家よりたくさん資金を集めたから悪い
というようなレベルの話になってしまう。

>>(2)方向感の喪失