リフレ派の苛立ち

消費増税が近づく中、市場には追加緩和は織り込み済みとの見方も多い。
おそらく追加緩和はあるだろうが、それはいつのことになるだろう。

イェール大学の浜田宏一教授がBloombergのインタビューを受けている。
異次元緩和の導入から1年がたって、浜田氏のコメントの聞こえ方が変わってきた。

雇用と生産、GDPが回復すればいいわけなので、2%にならないからアベノミクスは目的を達成できなかったと言われる筋合いはない

というコメントはまさに当を得ている。
浜田教授は

物価をどうして2%にしなければいけないのか、全く分からない。1.5%だっていい。
2%までなら何の問題もないが、4、5%になれば人々への大衆課税になる

と、リフレの副作用を心配する発言をしている。
リフレをやるだけやって、ようやく「イケイケドンドン」を唱える必要がなくなったのだろう。
こう発言した背景、ここがクローズ・アップされた背景には、リフレの貿易収支改善効果に疑問符が付き始めていることもあるかもしれない。

追加緩和については

連休明けくらいでだいたい消費税率引き上げがどれくらい負担になるかだんだんわかってくると思うので、それが深刻な場合は5月中にやらなければならない
・・・
(新規発行された長期国債を日銀が全て買い入れることも)できないとは思わない。貨幣を出さなければならないことを考えればタブーにはならない

と語った。
サービス精神たっぷりの教授だけに、誘導尋問的なものも感じるが、それにしても内閣官房参与としては大胆な発言だ。
浜田教授はそれほど消費増税の悪影響を案じているのだろう。
外野としては、市場が5月の追加緩和を織り込まなければいいが、と心配になってしまう。
国債市場については、ここまできたら好きにしてくださいという印象しかない。

追加緩和をせっつかれている側の日銀はどうか。
黒田東彦日銀総裁は朝日新聞のインタビューで

法人税減税を議論するなら、減税は恒久的になる。
恒久的な財源を見いださないと、財政赤字が増えてしまう。

(財源を生むための)社会保障制度や税制全体の検討が必要になる

と法人税減税に慎重な見方を示した。
理由は、いうまでもなく

財政の信頼がしっかりしていないと、思わぬところで国債価格が下がり、金利が上がる。
経済にとって好ましくない

ということ。
黒田総裁からすれば、批判を浴びながら日銀が異次元緩和を断行しているとの気持ちもあるのではないか。
円安効果・資産効果が鈍り始めているように見える中、異次元緩和は時間稼ぎの性質が強くなっている。
日銀が時間を稼ぐ間に、成長と財政再建を果たしてもらわなければいけない。

ただでさえ、消費増税が近い。
うれしいサプライズがない限り、追加緩和を実施する可能性は高い。
追加緩和はそう何度も許される施策ではない。
アベノミクスの時計が進むにつれて、リフレ派の人々にも苛立ちが高まっているのではないか。