デニス・ガートマン:原油はまだ下げるが底は遠くない

実は弊社はコモディティにはあまり積極的でない。
とは言え、最近の原油急落はその波及分野があまりにも大きく、無視することが難しい。

コモディティ王ことデニス・ガートマン氏の発言は本コラム常連のテーマだが、実はコモディティだけの記事の場合は、紹介しないことが多かった。
今回だけは素直にコモディティ王の言うことに耳を傾けよう。
CNBCに語ったところによれば、ガートマン氏も原油がまだまだ下がるとみているようだ。

(抄・意訳)

原油は歴史的にも最悪の状況にある。
75、80、90%下げるような傾向だ。
ここからまだ下がるかって?
もちろん!
先物価格がそう言っている。
先物が下げを先導するのが終わらない限り、下げ続ける。

米国のエネルギー効率が上昇したことで、原油需要が落ち込んでいる。
バレルあたりのGDPが向上している。
みんな燃費のいい車に乗るようになり、住居の暖房に必要な燃料も減少している。

低い燃料価格は悪いことではない。
雇用を生む要因となろう。

現状の市場の反応は心理的なものがある。
原油価格が崩壊して、みんな悲嘆にくれている。
しかし、そう遠くない将来、それは終わる。

ガートマン氏が言うように、原油価格の下落は経済にとって悪いことではなかろう。
なのに、投資の世界では悪であるかのように語られる。
それには2つの理由があろう。

原油価格下落はデフレ要因?

原油価格が下落すれば、それがデフレ要因となるとの心配が語られている。
それは事実だ。
デフレはそれ自体で経済に悪い影響を与える面がある。
しかし、それはあまりにも偏った見方に映る。

産油国ならともかく、原油輸入国にとって価格下落は「いいデフレ」と言えるはずだ。
日本人にとって原油価格が下がったからと言って、それは日本人の生み出した付加価値が下がったわけではない。
そういう意味で、このデフレは直接悪さを行うものではない。
むしろ、安い原油は国内の消費・投資を増加させるとも期待され、これは大きなプラスと言える。

原油安が孕むリスクとは

あえてリスクを想定するなら、それは原油関連産業での擾乱だろう。
先進各国での極端な金融緩和の恩恵を受けていた産業の一つがエネルギー産業であった。
資本集約的なエネルギー産業はただ同然の資金調達により業容を拡大してきた。
そのエネルギー産業が転機を迎えている。

エネルギー産業はたとえ投資不適格級の債券でも比較的安い調達金利を享受してきた。
それが、この半年で数百ベーシスもの金利上昇に見舞われている。
これは、開発プロジェクトの急激な採算悪化を意味している。
ハイ・イールド債市場は大荒れの状況にあり、デフォルト・リスクが意識され始めた。
さらに強く意識されるような事態になれば、これが連鎖的な悪影響を及ぼすリスクも否定できない。

原油価格はすでに十分に大きく下げている。
ガートマン氏の言うように近いうちに底を打つのではないか。
問題は、底を打つまでの行き過ぎた過程で擾乱が起こるのかどうかということだろう。