浜田宏一教授:円高には追加緩和で対応できる

内閣官房参与 浜田宏一イェール大教授がBloombergのインタビューを受けているが、これが楽しい。
浜田教授の人柄がよく出ているので紹介しよう。

ドル円は円安へ

浜田教授は4月にテレビ番組に出演、購買力平価から見てドル円は105円程度が妥当と発言した。
リフレ派の理論的支柱である教授が円安すぎると取れる発言をしたことで、市場は驚かされた。
その後、ドル円は円高に振れることもなく、ほぼ膠着状態を続けている。
では、浜田教授の現在の相場観はどうなのか。

(長期的な基調として)米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めに向かう一方で、日銀は量的・質的緩和を維持しているので、円はここから下げる可能性が大きい
日本の要因が円相場を動かしているというよりも、米国の要因で動いている側面が強い

妥当な水準が105円とすれば、円安進行はそれからの乖離を意味する。
円安の悪い面が強く出てくる危険性が高いが、それへの対処について、浜田教授は

円安が行き過ぎれば、日銀が金融を引き締めることはできるが、需給ギャップがゼロ%か、それを下回る水準である現段階で引き締めることは考えにくい

と政策でのストップの可能性を否定している。

量的緩和を通貨安政策に利用すると公言

では、逆の可能性はどうなのか。
ギリシャ問題など、金融市場でリスク要因が強く感じられるようになれば、調達通貨としての円は買い戻される。
この円高の可能性について、浜田教授は

円は安全な通貨として円高になる可能性はあるが、そういう事態が起こったとしても日銀が追加緩和で対応できる

この一言こそ、浜田教授の人柄を表している。
この方はとことん純粋なのだ。
そもそも浜田教授は、前世紀から為替市場への非不胎化介入を提言していた。

円高を追加緩和で対応してしまえば、日本の量的緩和政策が為替介入であることが明白になる。
これは、国際社会ではpolitically incorrectだ。
各国ともに、量的緩和の重要な目的が通貨安だと考えていても、それを口に出すことはない。
口に出せば、非難され、為替操作国として報復される。
不況に沈んでいた時代ならまだしも、政府がデフレ脱却宣言をうかがう今になってはお目こぼしもあるまい。

こうした簡単な話は、浜田教授は百も承知のはず。
それでも、浜田教授は公言する。
本音を語る、タブーのない人なのだ。