債券王、再び巨利を取り逃がす

債券王がドイツ国債に次いで中国株でも巨利を取り逃がしたとBloombergが伝えている。
この退役海軍将校にとっては、利益より規律の方が重要なのかもしれない。

グロス氏は4月「独長期債は人生最大の売りの好機」と予想しすぐさま的中させた。
しかし、その後、本人はショートしていなかったことが明らかになった。
グロス氏が次に呪いをかけたのは中国株だった。
そして、これもすぐさま的中させた。
ところが、今回も本人はショートしていなかったというのだ。

(抄・意訳)

私はファンドの運用方針を堅持することにしている。
中国株ショートはそれから外れていた。
ドイツ国債ショートについても、みなさんに知らせはしたが、自身のファンドは通常の方針を堅持した。
結果、この1か月半の成績はとてもいい。
ファンドは立ち直り、満足している。

中国株をショートするのは、中国株のベアETFを買うことだ。
5か月前、中国関連のCDSを売った。
そのポジションはまだ持ち続けている。
最近は、流動性の面で注意が必要だからだ。

やっときゃよかった。
やっとくべきだった。
大量にショートしておくべきだった。
しかし、それがポートフォリオ・マネージャーの苦悩というもの。
絶対に幸福にはなれないのだ。

退屈だが低リスクの投資を行っている。
償還間近の短期の社債などに投資し、ポートフォリオの外殻を作っている。
過去9か月この運用で助けられ、手堅い2%の利回りを得た。

債券王の2つの失敗は何を意味するのか。
まず、自らは売っていなかったという点。
つまり、自ら売り崩したわけではない。
これは、グロス氏の予想の的確性、または、バンドワゴンとしての有効性を示すものではないか。

もう一つはグロス氏の復活。
PIMCO時代の末期、グロス氏は明らかに苦しんでいた。
金利動向を完全に読み誤り、債券王としてはありえないような劣悪な運用成績を記録した年もあった。
新債券王ジェフリー・ガンドラックの台頭が目覚ましい中、グロス氏の時代は終わったと思った人も多かったはずだ。
しかし、4月以降、グロス氏はあまりにもタイムリーに予想を的中させている。
あるいは、音もなく忍び寄る時代の転換点を、優れたトレーダーが嗅ぎ取ったということだろうか。

トレーダー・タイプのファンド・マネージャーと言われるグロス氏。
その感が復活したとなれば、投資家や市場関係者からの日々の注目は再び高まるだろう。