レイ・ダリオの思考をたどる

転換点が近づいているかもしれない、いないかもしれない。
これから何が起こるのか、起こらないのか。

多くの著名投資家・エコノミストはわかりやすい言葉で現状と将来を説明している。
しかし、社会とはそれほど見え見えの道を進むものなのか。
気になる投資家が2人いる。
ここではその一人、レイ・ダリオ氏の思考をたどってみたい。

レイ・ダリオの経済モデル

なんと言っても始まりは2013年9月22日のBridgewaterによるビデオ「30分で判る 経済の仕組み」だった。
ダリオ氏は、この理論を用いてリーマン危機を「予知して避けることができ」たと言っている。

このビデオでは債務の縮小局面が論じられている。
もちろん、短期的な変動ではなく、長期的変動(債務のスーパーサイクル)である。

翌2014年6月、ダリオ氏は「次の景気停滞局面に不安」を感じていた。
この先の金融政策に懸念を述べている。
すでにゼロ金利政策がとられており、金融緩和の余地がないためだ。
これこそ、今FRBが非難を浴びながらも利上げをもくろんでいる理由だろう。

不気味な過去との類似点

2015年1月、ダリオ氏は「米ドルのショート・スクイーズが起こる」と予想した。
状況が1980-1985年と似ており、世界で米ドル建てで借金をしている債務者が返済のために米ドル買いに殺到するというものだ。
現状、利下げ余地はなく、対応は1980年代前半より難しいという。
一方、日欧は通貨安政策が必要になると予想している。
この2つの要因の示すところはドル高となる。

1980年代前半との類似は2015年3月にも失敗談の形で語られている。
当時の「FRBの金融引き締め政策と大きな債務残高を考えれば、世界的な債務デフォルトが発生し、FRBがそれに金融緩和で対応すれば、インフレが加速してしまう」とダリオ氏は考えた。
しかし、ボルカーFRB議長(当時)は利下げを行い、「米国に史上最大のインフレなき経済成長期をもたらした」というのだ。
もっとも、これは1980年代終わりのバブルを意味するのだが。

温故知新は1930年代にも及ぶ。
FRBが利上げに踏み切れば「利上げは1937-38年の急落の二の舞」になりかねないというもの。
当時、債券は売られ、株式は5割下落したというから穏やかではない。

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