スティグリッツ:TPPは国民のためのものではない

ノーベル経済学賞学者ジョゼフ・スティグリッツ教授がProject SysndicateでTPPについて書いている。
要職を歴任しながら、時として体制との衝突も辞さない硬骨漢は、TPPを参加国の国民の幸福に資するものでないと批判した。

TPPは自由貿易でなく管理貿易のため

スティグリッツ教授はTPPが自由貿易のためでないと言い切る。
各国の圧力団体のための管理貿易・投資のためであると指摘した。

(抄・意訳)

TPPは「自由貿易」にとって重要なものと聞いているかもしれない。
実のところは、TPPは参加国の貿易・投資を管理するためのものだ。
それは、各国の最強の圧力団体のためのものである。
この点を誤解してはいけない。
議論中のテーマを見ても明らかだ。
いまだに交渉がすったもんだしているのを見なさい。
TPPが「自由」貿易のためのものでないのは明らかだ。

ニュージーランドのと加・米の乳製品。
オーストラリアと米・メキシコの砂糖。
米国と日本の米。
これらは氷山の一角であり、TPPは自由貿易の逆を進めるものだ。

独占を狙う米国企業の差し金

知的財産権の拡大は、独占企業の利益のためであり、世界中の消費者、つまり患者が不利益を被るような「管理貿易」であると批判した。

リークされた交渉内容から垣間見える巨大製薬会社のための知的財産権拡大を見てみよう。
経済研究は、そうした知的財産権の効果が極めて低いことを明確に示している。
実際、逆効果である証拠さえある。
最高裁がMyriad GeneticsのBRCA遺伝子の知的財産権を認めなかった結果、たくさんのイノベーションが生まれ、低コストでよりよい試験が可能になった。
TPPの条項は開かれた競争を制限し、米国をはじめとする世界中の消費者の価格を引き上げる。
自由貿易とは逆の話だ。

TPPは医薬分野の貿易を様々な不可解なルール変更で管理しようとしている。
「patent linkage」、「data exclusivity」、「biologics」などだ。
結局のところ、目的は製薬会社に、時としてほぼ無制限に、特許をとった医薬品の独占を許すことだ。
安いジェネリック医薬品を市場から締め出し、「biosimilar」の競争相手の新薬発売を何年間も阻むことだ。
米国の主張が通れば、こうしてTPPは製薬産業の管理貿易を実現する。

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