クルーグマン:爆発的な財政拡大を

ポール・クルーグマン教授が、1998年に書いた日本の流動性の罠についての論文NY Timesで見直している。
一部に迷いを見せながらも、教授の押しはダブル・ベットだ。

日本経済の回復とともに課題は次のステップに

クルーグマン教授はまず1998年と今では環境が大きく異なってきたと指摘する:

  • 喫緊の問題は不況脱出ではなく、財政政策への依存からの脱出になった
  • 弱い需要は構造的なものと思われ、金融政策の舵取りが難しくなった

教授は、日本経済がもしかすると米経済よりいい状態かもしれないとし、ではなぜ低インフレ/デフレが問題なのかと自問する。
いうまでもなく、日本経済が財政拡大に依存し続けてきたことであり、結果として積み上がった莫大な債務がリスクなのである。

日本の財政赤字は深刻

これまでは何も問題とならなかった。
均衡予算でやってくるより、明らかに今の日本はいい状態にある。
私たちは、財政赤字のリスクがひどく誇張されていると信じている。
しかし、そうした者から見ても、債務対GDP比率が安定し、どの時点かで引き下げられることを望んでいる。

財政政策バンザイ、量的緩和バンザイと言い続けてきたクルーグマン教授に明らかな変化が見える。
過去の財政拡大を是認しながらも、それにともなう債務拡大にはリスクを認めざるをえないと吐露しているのだ。

金融政策には財政再建を援護するだけのマージンがない

そのリスク回避には難問が立ちはだかる。

現状では政策金利はゼロ近傍にあるため、日本は財政緊縮の効果を拡張的金融政策で打ち消すことができない。

日本が財政健全化に舵を切ろうとする時、そのマイナス要因を打ち消すために即効性のある政策が必要になる。
普通なら金融政策(利下げ)だ。
しかし、すでに円金利は短期から長期までゼロ近傍にあり、利下げの余地はほとんどない。

実質金利の高止まりが財政を痛めつける

さらに、低インフレによる実質金利の高止まりを問題視している。

ゼロに近い不十分なインフレによって、実際には実質金利が高く留め置かれている。
このことは、赤字予算があるべきより悪い状況にあることを示している。
インフレ引上げは財政再建を可能にし、削減の金額も小さくて済ませてくれるのだ。

金利が高ければ、国の利払い負担は増える。
その規模によっては、日本は財政再建どころかブラックホールにつかまりかねない。

(次ページ:後ろにはワナ、前にもワナ)