浜田宏一教授:TPPはアベノミクスの力強い追い風

内閣官房参与 浜田宏一イェール大教授がTPPについてProject Sydicateに寄稿している。
TPP反対に転じたヒラリー・クリントン前国務長官を票目当てと批判している。

ヒラリー候補の変わり身

ヒラリー前国務長官は間違いなくTPPの経済学を熟知している。
彼女自身、TPPを貿易協定の「黄金のスタンダード」と呼んでいた。
しかし、大統領選に臨む今、トーンは変化した。
理由は明らかだ。
自動車・トラックの関税引き下げにおびえる米自動車労組など労組の支持を失うわけにはいかないと判断したのだ。

浜田教授はこうしたポリティクスを「悲惨な経済学」と呼んでいる。
自由貿易の果実をいまさら説明する必要はあるまい。
自由貿易は全体のパイを間違いなく大きくする。
米国にとってももちろん然り。
しかし、全体のパイが大きくなると同時に、パイの切り分け方が変わってしまう。
既得権益と新たに生じる権益の利害が当然対立する。

TPPは米国にとって極めて有益なものと浜田教授は説明する。
自動車など製造業の関税はすでに農業などの分野に比べて税率が十分に低い。
自動車の関税を引き下げたところで、失うものはほとんどないのだ。
一方、農業などの分野で相手国の関税が引き下げられれば、米農業のメリットは大きい。

TPPは第3の矢の重要なツール

これは日本にも当てはまる。
浜田教授は、旧アベノミクスの第3の矢、構造改革が生産性の向上により成長を確保するものであると説明し、

日本産業と海外の産業の結びつきを密接にすることで、TPPはこのプロセスを大幅に加速することができる。
さらに、TPPは行政改革を進める。
単純に考えて、TPPはアベノミクスの力強い追い風となるのだ。

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