佐々木融氏:国債買い入れが困難になっている??

JP Morganの佐々木融氏がReutersに寄せたコラムで日米欧の金融政策を比較している。
オーソドックスかつ説得力があるので紹介しておこう。

日米欧の金融政策比較

佐々木氏のコラムをざっくりと表にすると次のようになる:

米国 ユーロ圏 日本
インフレ率 0.5% 0.2% 0.3%
経済成長 潜在成長率を上回る経済成長率を予想
緩和規模* 約25% 約25% 約75%
意思疎通 フォワード・ガイダンスで市場に地ならし サプライズ
金融政策 引き締めへ 緩和へ 緩和へ

* 量的緩和の規模は、中央銀行のバランスシートの対名目GDP比

金融政策のダイバージェンスは妥当か

佐々木氏の解釈のうち印象的な部分をいくつか紹介しよう。

ファンダメンタルズの違い以上に金融政策の違いがあると言えるかもしれない。
・・・
足元のインフレ率、金融政策の方向性、各中銀のバランスシート規模を合わせて考えると、日銀の金融緩和度合いが突出している感がある。

数字に多少の差があるものの、実は日米欧の経済状態(インフレ率・経済成長)の差はさほど大きくないのかもしれない。
そうだとすれば、日米欧の金融政策のダイバージェンスは妥当な現象なのか。
日銀のバランスシート規模は適切なのか。
こうした疑問に対する答は画一的な比較でなされるべきものでもない。
また、刻一刻と時間が経つにつれて、最適解も変化しうる。
だからこそ、今のこの状況は妥当なのかという疑問を持ち続けなければいけない。

異次元緩和で厚みを失う国債市場

もう一つ佐々木氏が議論しているのは、日銀の市場とのコミュニケーションの方法だ。
サプライズを多用し、サプライズによって大きく期待を操ろうとした黒田総裁の神通力に翳りがあるのではないか。

今回の日銀による政策微調整は、市場参加者に今後の金融政策の限界を感じさせてしまったのかもしれない。
長期国債買い入れの平均残存期間の長期化は、それだけ国債買い入れが困難になっているのかとの印象を市場参加者に与えた可能性がある。

長期国債を買い入れ、長期金利を押し下げてきた日銀だが、いよいよ買い入れできる玉が市場になくなってしまった。
だから、買い入れ対象を超長期側に拡大したわけだ。
これまで買い入れてきた年限では流動性が薄くなったことに対する対応だ。

おや?
流動性と言えば、米ハイ・イールド債市場のはやり言葉ではないか。
何ではやったのか?
そうそう、ちょっとしたショックで市場のボラティリティが急騰するからだった。
米国はまだハイ・イールド債、信用力が最低の側の物語だ。
日本の方はソブリンという最高の側での物語だ。

(次ページ: もうサプライズはいらない)

次の記事

PIMCOが教える雇用と消費の関係