サマーズ:量的緩和の隠れ蓑を使った通貨安誘導は無益

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)がThe International Economyのインタビューに応えた。
趨勢的停滞論を持論とするサマーズ氏は慎重な見方を続けているが、ここではサマーズ氏の懸念事項から2つを紹介したい。

通貨安競争の悪化

一つ目は、各国が量的緩和を国内施策だと言い張り、通貨安誘導を続ける危険性だ。
サマーズ氏はQEの効果をリフレ派ほど信じていないと言い、量的緩和が通貨安競争につながることを懸念している。
通貨安競争が現実のものとなっているかはわからないとしながら、過去になくそのリスクが高まっているというのだ。

この脅威が近づいているとするなら、国際的な経済協力がそれを封じ込めるという確信は持てない。

1国だけが近隣窮乏化政策をとれば、少なくともその1国は利益を得ることができる。
しかし、みんなが争って際限のない量的緩和に走れば、誰も利益を得ることはない。
量的緩和の効果が低減していく中、残るのは、量的緩和の副作用だけなのだ。

共倒れする世界

2つ目は、新興国と先進国の足の引っ張り合いだ。
サマーズ氏は、互いが補完するのではなく、共倒れになる危険性を指摘する。

これが、悪しきサイクルのリスクを引き起こす。
新興国が先進国を引きずり下ろし、次には、先進国が新興国を引きずり下ろす悪循環だ。

新興国に問題が発生すると、新興国からの資本逃避が起こる。
先進国の金融機関は国内への投融資は増やさざるをえなくなる。
これが、新興国の通貨安を引き起こす。
先進国は、そうした新興国と戦わなければならず、これが需要不足を悪化させる。
当然ながら、先進国の需要不足が新興国にとってプラスに働くはずはなく、これが新たな問題を生む。

いずれもすでに私たちが目にしてきたことだ。
こうしたリスクの程度がどれほどかは個々の事例によるのだろう。
しかし、間違いなく、私たちは今後も何度となくこうした構図を目にすることになろう。