ビル・グロス:マネタイゼーションというごまかし

債券王ビル・グロス氏がCNBCで、FRBによるマネタイゼーションを批判した。
仮に今後こうした批判が広まるようなら、先進国のソブリン・通貨の信認は揺らぎかねないだけに、見過ごせない意見だ。

政府ぐるみのポンジ・スキーム

グロス氏は、先日のツイートでもあったように、日米英でのマネタイゼーションを「ごまかし」と批判している。
中央銀行以外の国債投資家を欺き、通貨の信認を脅かすとともに、金融政策の財政従属を通して経済の安定をも危うくするものだからだ。

FRBはその2.5兆ドルにのぼるポートフォリオの金利を財務省に毎年戻している。
つまり、財務省が借金をし、FRBがそれを買い入れ、財務省はその利払をしなくてすんでいる。
投資家は気づいていないが、一種のごまかしだ。

いつか限界がやってくる

グロス氏は、こうしたごまかしが長くは続かないと語る。
中央銀行が政策金利をどんどん押し下げ、マイナス金利が大きくなるにつれて、ついにみんながタンス預金を始めるだろうからだ。

FRBは、債券や株式市場を押し上げるためにさらに金利を引き下げることが多分できるのだろう。
しかし、いつか金利があまりにもマイナスに振れた時、投資家や大衆はこう言うはずだ。
「現金で持っていた方がましだ。
オーバーナイトで運用すれば、1.0-1.5%の金利を取られてしまう。」

こうした現象が起こった時、ついに限界が訪れる。
それ以上、まったく金融政策が効かなくなってしまう。

だから、中央銀行ができることは限られている。
このことを投資家が気づき始めた。
FRBはQEを再開することはできるだろうが、それが経済成長・資産価格に及ぼす効果はいつか終わる。

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