レイ・ダリオ:リスク・プレミアムの圧縮で金融機能が麻痺した

過小なリスク・プレミアムで金融が麻痺

ダリオ氏は、長期債務サイクルで金融政策に起こる現象を説明する。
「債務と通貨の組み合わせでファイナンスされる成長には限界がある」とし、今まさに上昇期の終点に差し掛かったという。
終点では、金融緩和でも経済が刺激されなくなるといい、その理由を2つ挙げている。

  • 低金利
  • 過小なリスク・プレミアム

金利低下の余地が小さくなるとともに、投資の対価が受け取れなくなっているのだ。
企業にしても投資家にしても、投資を行うインセンティブとは調達と運用のスプレッドだ。
それが小さくなりすぎれば、誰も投資をしなくなる。

八百屋さんを考えてみればいい。
100円で仕入れたものが101円でしか売れなくなった。
(スプレッドがあまりにもタイトになった。)
一方、ロス率はゆうに10%を超えている。
こんな状況では(少なくとも儲け目当てで)商売する人はいなくなってしまう。
金融緩和は、商売の利ザヤをあまりにも薄くしてしまったのだ。

金融政策が効かない

資産価格について、ダリオ氏は逆資産効果を指摘する。

資産価格を上昇させることはできず、簡単に下落してしまう。
そして、下落した時、経済成長に悪影響を与える。

さらに需要増を喚起できなくなるという。

債務と債務コストが所得と比べて高い水準になると、支出削減なくしては債務を増やせなくなる。
需要を刺激するのは難しくなり、通常より需要抑制が起こりやすくなる。

こうした根拠からダリオ氏はFRB利上げに反対だ。
厄介なのは、緩和の効果が低減しているのに、引き締めの悪影響はてきめんということ。
FRBは進路をふさがれ、退路を選んでも安定は得られない状況に置かれている。

ダリオ氏は、FRBがインフレリスクに先回りすべきでないという。
インフレが明白になるまで待ちすぎでもいいと主張している。
これは、経済を思ってのことか、自社の運用成績を思ってのことか。
その見極めが難しい。