クルーグマン:金融政策の効果は低減している

ポール・クルーグマン教授が、16日の国際金融経済分析会合での会話の様子を公表した。 1)
事前予想と事後報道の通り、消費増税先送りのための最高の地ならしとなったようだ。

設営者の意図がはっきりしている以上、国際金融経済分析会合というセレモニーはもう二度と開催しない方がいい。
「国際金融経済」と題打ちながら、国際金融経済についての議論は(量はあっても)明らかに精彩を欠いている。
国際金融経済を知りたいなら、外資系投資銀行のレポートを読んだ方がよほどためになる。

そうした背景を十分に理解した上でか、クルーグマン教授はアベノミクスを高く評価しているとしながら、世界経済の鈍化を考えると、まだ十分とは言えないと語った。

  • 世界的に経済が弱く、差こそあれみな日本と似た状況
  • 世界の主要な経済の連動性が、とりわけ資本フローの面で高い
  • 特に心配なのは、極めて大胆で非伝統的な金融政策を講じても目標達成が難しくなっていること
  • 財政政策など他の政策が必要であり、財政再建に努める必要はない

金融政策は限界に

クルーグマン教授は、金融政策が限界に達しつつあると語る。
マイナス金利は正しい政策だが、「非伝統的手法を用いるのは難しい。効果が低減しているように見える」とし、それだけでは十分な効果は得られないという。
そのため、財政政策が必要になると主張する。

  • 金融政策が効果を上げるためにも財政政策が必要
  • 金利はすでに低い
  • 日本の政府債務は自国通貨建て
  • 足元の財政均衡よりデフレ退治の方が長期的財政にとって重要

後の2点は、財政拡大慎重論への牽制である。

円建ての借金は問題ない

日本の財政不安に対しては、こう主張している。

「自国通貨建てで借金している先進国が財政危機を迎えるには極めて長い時間がある。
・・・
日本がギリシャのようになるという人がいるなら、どのようにして起こるか教えてほしい。
日本は独自の通貨を持っている。
起こりうる最悪のシナリオは円安だが、これは日本にとっていいことだ。
これは心配することではない。」

日本人を人ではなく経済モデルの駒と見ると、こういう意見になる。
この教授は自由貿易論で世に出た人なのに、円安という非関税障壁を擁護しているのも面白い点だ。
これでは議論のレベルが藤巻健史参院議員と同じではないか。
アカデミックの衣を着ていない分、議員の方がはるかにましとも言える。
教授の論点は理解するにしても、円安がどのくらいまで起こりえ、どうして日本人にとっていいのかを明らかにしないのでは、全く聴く価値のない意見と判断せざるをえない。

(ダメな国ばかりがクルーグマンにすり寄る?)