クルーグマン:金融政策の効果は低減している

決断できる政治のアダ

ドイツには、EU各国の犠牲のもとに栄えているという特殊要因があるので、米国を見よう。
米国を見る限り、良くも悪くも拮抗する政治勢力の存在が機能している。
事実上の一党独裁が実現している国では、選挙のツールとして使われた政策手段が、反対が根強いにもかかわらず長く継続してしまうようなことが起こりうる。
クルーグマン教授が提供したのは、極端な金融政策とそれに次ぐ財政拡大である。

日本でも今後は金融政策の役割を軽減していくことになろう。
しかし、踏み出してしまった道を引き返す選択肢はないだろう。
異次元緩和実施の時点で、もはや後戻りのできない道を進み始めてしまったのだ。

補遺1: 構造改革を議論するな

クルーグマン教授は構造改革について持論の通り議題の中心に据えるべきでないと釘をさす。

「構造改革の話を出さないのは、反対なのではなく、需要拡大という重大問題から焦点をそらしてしまうからだ。
・・・
構造改革はすばらしいことだが、それを論じることで、金融政策に依るべき目下の主要課題(需要不足・デフレ退治・インフレ不足)に対処しない言い訳になりがちだ。」

応急処置が重要だという意見である。
ジェフリー・サックス教授の言葉を紹介するまでもなく、日本は応急処置を繰り返して四半世紀。
変わったのは、増えた政府債務だけだ。
ただ、こういうと、ばら撒きたい人たちは、

と言い出すからやめておこう。

補遺2: 人民元は下げる

中国については人民元安が不可避とし、それが海外に悪影響を波及させると述べている。

「2015年、中国は約1兆ドルの資本逃避があったと見ている。
中国は莫大な外貨準備を有しているが、無尽蔵ではない。
人民元の減価は現実に見込まれるところとなり、それが諸外国に著しい困難を生む。」

(出典)
1) Paul Krugman (2016), 「Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16」, https://www.gc.cuny.edu/CUNY_GC/media/LISCenter/pkrugman/Meeting-minutes-Krugman.pdf (参照3/27/2016)