ローレンス・サマーズ:インフラ投資先延ばしは有害な隠れた借金

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、老朽化の進むインフラの補修を先延ばしすることは、将来世代に「最も悪く最も有害な借金」を残すことになると警告した。
こうした財政赤字の圧縮は緊縮のための緊縮であり、目に見えない形で負担を将来世代に押しつけるものだとした。

サマーズ氏は、インフラ投資が間違った形で行われているという。
米長期金利が2%を切る空前の低水準であることから、国債発行によるインフラ整備の有効性を主張する。
「国債発行なら年率2%以下の金融費用ですむ」のに、「補修を1世代先延ばしすれば、その費用はもっとかかる」と指摘する。

「私たちは、財政健全性についてもっと全体的な見方をしなければいけない。
最も悪く最も有害な借金は、投資不足という借金であることを認識すべきだ。」

つまり、国債として債務をバランスシートに載せるか、補修先延ばしとしてオフ・バランスに隠しておくかの選択を迫られている。
オフ・バランスにする方が、かえってトータルのコストは多くかかってしまうとサマーズ氏は主張しているのだ。

さらに、インフラ補修を今行えば、その恩恵は今から受けられる。
今投資を行えば、短期的な成長率が上昇し、中期的な供給力が増え、長期的な財政状態を改善できるとし、典型的な上げ潮派のロジックを展開した。
一方、歳出を絞りすぎれば、先進国において趨勢的停滞を生む要因となると主張、緊縮派をけん制した。

「先進国の中に今後10年で2%のインフレ目標に到達すると期待できる国がないことは、市場が示している。
何かが間違っている。」

サマーズ氏は良心的リベラル派の筆頭。
この人が言うと、上げ潮派のロジックでも説得力が増す。
一方で、米国が日本に近づいてくる気配も感じられる。
政府の規模を大きくすることが、歳出の中身を劣化させかねないことは、私たち日本人が肌身にしみて感じているところだ。
仮に、基軸通貨国が深刻な財政悪化に見舞われれば、世界に与える影響は計り知れない。
どこよりも財政状態の悪い日米がいつまでも強い通貨を持ち続けていられるというのは少々楽観的過ぎるだろう。