エラリアン:伝統的な投資の知恵が役に立たない

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が米ペンシルバニア大学ウォートン校のインタビューを受けた。
その中で、投資家が知っておくべき3つの環境変化、2つの投資手法の変化を挙げている。

FRBが利上げにトライし、市場のボラティリティが増す中、エラリアン氏は3つの変化を念頭におくべきと語る。1)

  • 資産クラスごとの期待リターン
    極端な金融緩和は資産価格をファンダメンタルズから乖離させ、将来のリターンを先食いしてしまった。
  • 資産クラスごとのボラティリティの見通し
    金融政策によって抑え込まれていたボラティリティが解放されつつある。
  • 資産クラス間の相関関係
    中央銀行の介入により、従来の相関関係が壊れてしまった。


エラリアン氏によれば、この数年は国債だろうが株だろうが何に投資しても儲かる環境にあったが、これからは期待できないという。
相関関係もよくない方向に向いているというのだ。
こうした仮説を受け入れるなら、従来の投資の知恵の中に成立しえないものが出てくる。

  • 分散された資産配分がリターンを生みリスクを和らげるという知恵
    これが成立しなくなれば、期待リターンを引き下げるか、とっているリスクをより大きく認識するかが必要となる。
  • 現金は死に銭であるという知恵
    これが成立しなくなれば、現金保有は戦略的な資産配分の一要素になる。

最近、エラリアン氏が投資のハウツーを伝授する機会が増えた。
それだけ世間の関心が高まっていることもあろうし、一方でエラリアン氏にとっての重要課題である面もあろう。
主たる主張は変わらないが、エラリアン氏のハウツーには微妙な変化・進化も見える。
かつてPIMCOを率いたエラリアン氏にとっても、現在の市場環境は悩み多いということだろうか。

(出典)
1) Knowledge@Wharton (4/21/2016), 「PIMCO’s Former CEO Mohamed El-Erian on the ‘Delusion of Liquidity’」, http://knowledge.wharton.upenn.edu/article/pimcos-former-ceo-mohamed-el-erian-delusion-liquidity/ (参照4/22/2016)