【輪郭】バフェット氏がアップル株を買ったわけ

本コラムでは「Buffett Watch」というカテゴリーを設けてウォーレン・バフェット氏の動向をフォローしている。
人物に対しカテゴリーを設けているのはバフェット氏のみであり、バフェット氏の投資手法は弊社にとっては特別のものだ。

弊社はバフェット氏の投資手法を日本風にアレンジし、バリュー投資するというコンセプトで投資を始めた。
その後、いくつかの方針転換があったが、少なくとも日本株についてはいまだに同じ考え方で投資を行っている。
ところが最近、バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが、らしからぬ投資を繰り返している。
本コラムでそれに言及しないわけにはいくまい。

テッパー氏が売り、バフェット氏が拾った

少し前、本コラムでお馴染みのデビッド・テッパー氏のファンドが保有するアップル株のすべてを売却して話題になった。
同時期、レイ・ダリオ氏、カール・アイカーン氏らもアップル株を売却したと伝えられた。
アップル株価の変動が株価指数に与える影響は無視できず、市場に不安を与えた。
ところが、最近なんとバークシャーがアップル株を買っていたことが明らかになったのである。
その後、投資を主導したのがバフェット氏ではなく、後継者と目される人材のいずれかであることが報道される。
ある意味、驚きのない続報であった。

世の中の反応は大きく2つあったと思う。
一つは、バークシャーが世代交代期を迎えており、投資基準も変化しつつあるという見方。
もう一つは、アップルがエッジの立ったハイテク銘柄・グロース銘柄ではなくなりつつあるのではという見方。
特に後者は、アップルの投資家にとって重大な問題であろう。

業績は悪くない

筆者はバリュー投資が専門であり、ここで述べるアップル株に対する見方が正しいとは限らない。
しかし、見過ごせない事実がいくつかある。
まずは、近年の売上高・営業利益だ。

アップルの売上高、営業利益

なるほど、確かに追い風を受けて利益を急拡大するようなグロース株とは言えない。
しかし、それでも立派な業績だ。

では、バランスシートはどうなのか。

アップルの総資産、株主資本

気になるのは総資産が増加していること。
この大半は投資有価証券の増加であり、同社はデット・ファイナンスで有価証券に投資している。
収益力が高く、バランスシートの健全性も高いから、借金をすることはむしろいいことと言える。
気になるのは、投資有価証券の中身だろうが、これも現時点でいいとも悪いとも言えないものだ。

このように見てみると、ヘッジ・ファンドがアップル株を売却したからといって心配する必要はなさそうだ。
むしろ、ヘッジ・ファンドはいいところでExitしたのだろう。

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