【輪郭】バフェット氏がアップル株を買ったわけ

IBM投資はどうなったのか?

バークシャーはIT産業の将来を予想する力にたけているだろうか。
それも、他の投資家よりも優れた力でなければいけない。
実績で言うなら、バークシャーに優位性があるとは言えない。
なにしろ、ほとんど経験がないのだから。

2011年第3四半期、バークシャーはIBMに投資して世間を驚かせた。
これが、IT産業への大型投資の最初であった。
5年近くがたった今、この投資について見直しておこう。
IBMの過去5年の株価は:

IBM株価

損をしたとは言えないが、よくて横ばいだろうか。
いやいや、そうとも言えない。
市場との比較をしないと本当の姿は見えてこない。

IBM株価とS&P 500

市場全体が上げた中、IBM株は下げている。
通常、バークシャーがある銘柄に投資すると、そのアナウンス効果によって株価はさらに上げる。
IBM株もバークシャー投資後上昇しているが、ほどなく低下傾向に転じた。
まだ5年にすぎないが、この5年を見る限りはうまくいったとは言い難い。

有り余る資金と投資難

IBMへの投資が実らないことは、バークシャーにとって喉に刺さった骨であるはずだ。
その中でのアップルへの投資。
やはり、株式投資家にとって投資難が極まったということではないか。

とある研究によれば、アクティブ投資のファンドの投資戦略は、ファンド規模が大きくなるにつれパッシブ的に変貌していくのだそうだ。
投資しなければならない資金が増えると投資先が枯渇してきて、意図してか意図せずにか分散投資に向かうのだろう。
バークシャーの場合、投資資金の増加と投資先の枯渇の両方が起こっていると考えられる。
そう考えれば、バークシャーが幅広い銘柄・手法に触手を伸ばし始めた理由も合点がいくのである。


山田泰史山田 泰史
横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部化学科卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

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