ロバート・スキデルスキー:マイナス金利は実りのない努力

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ケインズの伝記作家としても知られる、経済学者で英上院議員のRobert Skidelsky氏が、「ケインズだったらマイナス金利をどう言うだろう」と自問している。
同氏によれば、マイナス金利は「過去・将来の誤りを深く分析することから目をそらせる」だけの「実りのない努力」だという。

金利の下げ幅以上に投資リターンが下がる

ケインズは失業を減らすために《穴を掘って、穴を埋めろ》と主張した。
スキデルスキー氏はこれを念頭に、マイナス金利についても「他に何も思いつかない政府の自暴自棄な手段」と言うのではないかと書いている。1)
つまり、このケインジアンのマイナス金利への評価はかなり低い。
同氏は同政策を「実りのない努力にすぎない」と切って捨て、問題点を挙げる。

  • 「この政策は、スウェーデンの経済学者クヌート・ヴィクセルが考えたように、市場金利が期待収益率と擦り合うことで機能するはずだった。
    問題なのは、これまで名目金利はマイナスにならないと考えられているのに対し、総需要が停滞すると投資家の新規投資に対する期待リターンがいともたやすくマイナスになりうることだ。」
  • 銀行の利ザヤが圧縮され、金融システムが不安定化する。
  • 金融システムしか考慮しない視野の狭さ。

誤算の原因

当たり前のことだが、ケインジアンは財政政策を求めているのだ。
スキデルスキー氏は『一般理論』を引用する。

「マネーが系の活動を刺激する飲み物とすれば、カップと飲み物の間には滑りがあることを忘れてはいけない。
・・・
金利を引き下げるためにマネーの量の増加が期待されても、もしも、公衆の流動性選好がマネーの量より多く増加すれば、金利は低下しない。
投資を増やすために金利低下が期待されても、収益期待が金利より速く低下すれば、投資は増えない。
雇用を増やすために投資の増加が期待されても、消費性向が低下すれば、雇用は増えない。」

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