堀古英司氏:リーマン狼少年に要注意

ホリコキャピタルの堀古英司氏が、民放番組で終末論者や投資家に苦言を呈していた。
ヘッジ・ファンドの焦りや《やっちまった感》が垣間見える内容なので、少々いじわるだが紹介しよう。

リーマン狼少年に要注意

少々批判じみたところも出てくるので、先に筆者のスタンスを明らかにしよう。
この番組で堀古氏が語った趣旨について、筆者は完全に同感である。
さらに、堀古氏が日頃メディアで話す内容について、いつも注目している。
市場の噂話、テクニカル分析、短期要因のみを根拠に大きな予想をまことしやかに語る日系のエコノミストらが多い中、ファンダメンタルズを中心に据えようという姿勢は立派だと思う。
ただ、今回の番組のコメントについては、《やっちまった感》が拭えなかった。

番組の終わりで、堀古氏は「オオカミに注意」と説いた。

  • オオカミ少年(リーマン級が来る、ハイパーインフレ来るとか吹聴するオオカミ少年)の言を鵜呑みにせず、中身を吟味すべき。
  • 投資家の側も、頻繁に売り買いしない方がリターンがとれる。

いずれも、もっともな話なのだが、ある意味当たり前でもある。
マーク・ファーバー氏やジム・ロジャーズ氏の終末論は、半ばエンターテインメントだ。
ジョージ・ソロス氏の終末論は半ばポジション・トークだし、ピーター・シフ氏の終末論は半ば政治活動である。

頻繁に売買をしないというのも全く賛成だ。
弊社が「ロング・オンリー」を掲げているのも、マーケット・タイミングでは分が悪いと信じるからだ。
一方で、短期売買を否定しようとも思わない。
マーケット・タイミングで勝つ自信のある人がいるなら、状況に応じて好きなように売買するのは当然の権利だ。
筆者は、長期投資の利益の源泉の一つは、短期売買で損をする人であると考えている。

アベノミクスは円安を生まなかった?

このように、堀古氏の教訓は大賛成なのだが、今回の堀古氏の為替・米株価に対する説明には疑問を感じざるをえなかった。
まずは為替。
実質金利がドル円の決定要因の一つであることを説明した上で、アベノミクスの初期の円安について

「一般の人はアベノミクスとか日銀の緩和によるものだと思っている人が多いが、そうではない。
日銀は実質金利に対してはほとんど影響を与えていない。
影響を与えたのは米国。
バーナンキ・ショックで米実質金利が急上昇したことだ。」

と解説している。
堀古氏は説明の意図を明示してはいないが、おそらく、単純に金融緩和が円安をもたらすと考えるべきでないと言いたいのだろう。
堀古氏のドル円についての見方は、円高が随分進んだから安易にドルを買うのは間違い、である。

(次ページ: これではアベノミクス初期の円安を説明できない)