米国債:ウィドウ・メーカーとの戦い

新債券王ことDoubleLine CapitalのJeffrey Gundlach氏の苦戦をFortuneが書いている。1)
ベンチマークとなる指数が年初来6%近く上げた中、ガンドラック氏のDoubleLine Total Return Bondは3%上昇にとどまっている。

このリターンは、近年過去ほどの輝きを失った債券王ビル・グロス氏の運用ファンドにも後塵を拝している。
債券中心のファンドで3%と見るなら悪くはないのだが、新債券王のファンドだけに注目を集めることになる。
この原因を紐解くカギはベンチマークの6%という高い数字だ。
想定外の債券買いが進み、キャピタル・ゲインによって債券のトータル・リターンが拡大したのである。
ガンドラック氏は、この恩恵を十分に受けていない。

Fortuneは、最近のガンドラック氏の「疑問の残る予想」を紹介する。

「ガンドラック氏は、英国民投票が否決されると予想していた。
火曜日には、ドナルド・トランプ勝利を再度断言している。」

こうした大勢に逆らうような予想が、ガンドラック氏の不調を生んだと滲ませている。
しかし、こうした現象を不調と判断するのは早計だ。
なぜなら、これはガンドラック氏が逆張りに転じたことを示しているからだ。
全体としてリスク・オフの局面で、相場転換が近いとみて債券から距離を置いたのであり、これが成功するか否かを判断するにはやや長めの時間が必要だ。

世界の債券市場は35年に及ぶスーパーサイクルを経験してきた。
ゼロ金利に至ったことで、このスーパーサイクルが終わるのではないかとの推測が、リーマン危機後の空前の金融緩和局面で頭をもたげてきた。
こうした中、逆張りのドラマが過去にも何度か演じられてきた。

  • 2011年には、米国債ショートに挑戦したビル・グロス氏が敗北を認めポジションを閉じている。
  • 2014年には、QEテーパリング開始で市場が金利上昇を予想したが、ガンドラック氏は低下を予想し見事に当てている。
    このあたりから、ガンドラック氏の予想が神がかってきていた。

国債を売るポジションは「widow maker」(未亡人製造装置)とも言われ、中央銀行に逆らうことの無謀さを象徴してきた。
グロス氏もガンドラック氏も、そうした洗礼を受けてきたわけだ。

この二人は今も今回の逆張りを解消していない。
グロス氏は、「各国ソブリンは投資対象ではない」と言い切る。
ガンドラック氏は「米国債より金」と勧める。
転換点を巡る戦い、今回は実を結ぶのか。
米金利は、あらゆる投資にとって重要な指標なだけに、目が離せない。

(出典)
1) Fortune (7/14/2016), 「’Bond King’ Jeffrey Gundlach Is Having His Worst Year Ever」, http://fortune.com/2016/07/14/jeffrey-gundlach-bond-king-doubleline/ (参照7/15/2016)