【グラフ】ドル円を巡る綱引き

一次近似からわかること

日米長期金利差の月間変動(%ポイント)とドル円レートの変化率(%)をプロットし、近似式を求める。

日米長期金利差増減とドル円レート変化率の相関

まず、かなり一様に散らばった散布図を味わおう。
相関係数0.35(R2=0.1222)が示すように、金利差がドル円レートを決めるという考えは過信すべきでないかもしれない。
次に、大まかな、あるいは長期的な傾向を知るために近似式を使うと
金利差が1%ポイント拡大すると、ドル円レートは4%円高に振れる。
現在のレートで4%の円高とは、4.5円の円高ということになる。

優しいトランプのシナリオ

ここで、トランプ政権がしばらくドル円レートを問題視してこないシナリオを考えよう。
この場合、金利差拡大がドル円上昇を進めることになるはずだ。
そうなると何が起こるだろう。

今年FRBはどれだけ利上げをするだろうか。
2-3回の利上げがあるなら、短期金利の上昇は素直に考えて0.50-0.75%ということになる。
これがそのまま長期金利をスライドさせるとすれば、長期金利の上昇も同率を予想するのが素直だろう。
さらに、イールド・カーブがフラット化するか、スティープ化するかも影響するが、FRBがQE再開でもしないかぎりフラット化は予想しにくい。
結局、年内の米長期金利の上昇幅は0.50-0.75%か、それにスティーブ化する分を上乗せした幅になる。
現在の長期金利は2.5%前後だから、これが3%を超えるぐらいまで上昇するとの予想になる。
この単純な予想は、米国勢に多い3%予想と擦り合っている。

この予想に先ほどの近似式を用いると、金利差拡大によるドル円上昇幅は
年内2.2-3.3円程度
となる。
なんとささやかな変化であろうか。
日米金利差がドル円に影響するというのは正しい認識だが、他にも多くの要因があり、そちらの方がむしろ支配的であるかもしれないのだ。
少なくとも、上記の上昇幅など1回のツイートであっというまに消されてしまうだろう。


山田泰史山田 泰史
横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部化学科卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

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