【グラフ】日本株に割高感がないのは本当か?

1980年以降の日米のインフレ調整済みEPSの動向見てみよう。

東証一部(青)とS&P 500(赤)のインフレ調整後EPS
東証一部(青)とS&P 500(赤)のインフレ調整後EPS
(便宜的に単回帰分析を行っているが、一次近似すべきとの理論的根拠はない。)

ここから2つの差を読み取ることができる。

  • 米EPSは拡大傾向が見られるが、日本のEPSにはそれが見られない。
    米EPSに拡大傾向が見られるのは、実際に利益成長が顕著であるほかに、自社株買い・M&Aなどの影響があるものと推測される。
  • 日本株はEPSがマイナスになることがある。
    これは株式市場における輸出産業のウェイトが大きいためと思われ、EPSが海外経済や為替によって大きくぶれてしまう。

日本がQQEによって低金利で、リスク・プレミアムもぺしゃんこであることは、株高の要因となりうる。
しかし、米国株に比べると、EPSの成長性で大きく劣っているのである。
そう考えると、18.8倍の読み方はますます難しくなる。

最後に一番大切な点を言えば、日本のEPSはマイナスになりうるということだ。
しかも、あっという間に、多くの場合予想されていなかったのにマイナスになってしまう。
このことは、現在のPERを見て割高・割安を判断することの有用性を奪ってしまう。
ある日突然PERが急騰したり、計算できなくなったりするからだ。

日本株に割高感はないというのは正しい評価だと思う。
しかし、割高感はなくても、あるいは割安感があっても、日本株というのは突然崩れる危険性を持っている。
投資家はそのリスクを知って行動すべきなのだ。

ちなみに、弊社では今年に入って主に日本株のポジションをわずかにアンダーウェイトした。
目標に達した投資を回収したことに加え、米国発の混乱の確率が高まり、日本市場への波及の可能性が出てきたからだ。
しかし、それ以外、内外の株式・債券ともにほとんどポジションを変更していない。
市場はバブルにもなりうるし、下落もしうると考えている。


山田泰史山田 泰史
横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部化学科卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

本コラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。本コラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。本コラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。本コラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。本コラムはコラムニストの見解・分析であって、浜町SCIの見解・分析ではありません。