「日銀プット」で実現する円と国債の転換点は朗報か

経常黒字国である日本が、無策にも再び輸出立国を目指している。
どうやら政権の枠組みに変化がありそうだから、円と金利の潮目が変わるかも知れない。

野党総裁発言の誤報騒動

政権を狙う野党総裁がややアグレッシブすぎる金融政策を述べて波紋を呼んだことがあった。
「国債の買いオペ」と発言したのに「国債の直接買い入れ」と誤報されたことも波紋を大きくした。
その後、その党はインフレ目標を総裁の持論3%から2%に引き下げている。
これは妥当な線だと思う。
筆者は1%の実現は時間の問題と見ている。
その上で、目標を2%とするのは悪くない。

残念ながら、その際の野党総裁の発言がよろしくない。
少々円安・株高となったタイミングを捉えて
 この論争はもう終わった、勝負あったと思っている
と発言した。
さらに、日銀白川総裁の師であるイェール大学の浜田宏一教授から賛同を受けているとして、
 浜田教授はノーベル経済学賞を狙える日本人候補の筆頭
 白川総裁の恩師でもある浜田教授から支持を受けている
ことを自らの主張が正しいことの根拠に挙げた。

現在考える限り、この人が総理大臣になる可能性が最も高い。
これほど下品な議論をする人が宰相になるとは、なんとも悲しいことだ。
個人的に言いたいのは、
 ノーベル経済学賞はノーベル米国経済学賞とでも言うべきもの
 他のノーベル賞学者が違うことを言えば、方針を変えるのか
 恩師が弟子より優れているとは限らない
 もしもそうなら不肖の息子という言葉もある
 立派なお父さんより子供が劣るなら、子供の方に首相の資格はない
これら筆者の悪態は、口にするのも筆者自身の品格を疑われてしまうような話だ。
それと同じようなことを次期首相候補の筆頭が言っている。
政権交代には賛成だが、この人でいいものだろうか。
人でなく党に期待しよう。

政権公約に挙げられた金融政策

経済の話に戻ろう。
残念ながらそういう人が国のトップになりそうだ。
すると、日本の金融政策には変化が訪れるかも知れない。
ロイターはその党の掲げる金融政策を次のようにまとめている:

1)2%のインフレ目標(物価目標)
2)無制限の金融緩和
3)超過準備の付利撤廃
4)日銀法の改正
5)外債購入
6)国債のさらなる大量購入
7)当座預金付利のマイナス金利設定

さながら、米株におけるグリーンスパン・プットならぬ、ドル/円相場における「日銀プット」とでも言うべきものだ。
来年には日銀総裁の任期が切れることから、いずれかが実現する可能性は極めて高かろう。
煎じ詰めれば、緩和政策の強化による投資喚起と円安誘導だ。

円安が「必然」でないなら為替介入は歪みを生む

仮にこの円安誘導が大局に合わない為替政策であるとすると、どこかに歪みが訪れるのではないかとの懸念が湧く。
その懸念とは、本来起こらなくてもよいインフレ・名目金利の急上昇と円急落だ。
円の急落は日本の輸出を再拡大させてくれるだろうが、日本の購買力を蝕む。

円安誘導は本当に大局に合わないのか。
これについては、2つの要因を考えるべきだろう。

1つ目は最も根源的な要因である経常収支。
輸出の増大は貿易黒字をもたらし、経常黒字をもたらし、円高圧力となる。
この円高圧力にどこまで政府・日銀は抗えるのだろうか。
政府・日銀が円を売り、それに追随して企業・個人が円を売るような流れになれば理想的だ。
政府・日銀が介入をしなくても、国民が円売りを続け円が安くなり、政府・日銀が外貨を売り抜ける。
しかも、緩やかに。
こんな理想的な展開が本当に期待できるのだろうか。

もう1つの要因は、日本の財政問題の性格である。
米国やPIIGSとは異なり、日本の債務問題はこれまでのところ国内問題だ。
ストックで言えば、9割以上の国債は日本人が投資している。
だから、日本人が債権放棄をすれば問題は解決する。
国内で解決できる問題だから、国際社会はたいした支援をしてくれないだろう。

日本人が債権放棄をするとは2つのやり方がある:
 ・正々堂々となるなら増税
 ・だまし討ちにするならFinancial Repression
金融緩和派はこの後者を目論んでいる。

消費増税については10%までは国民に受け入れられるだろう。
しかし、その先は困難が待っている。
歳出削減はやらないといけないが、やれば労働分配の総額を減少させる可能性が高い。
だから、だまし討ちが好まれる。
だまし討ちはソフト・ランディングするだろうか。

インフレ時代を視野に入れた資産運用

インフレ目標を2%として、ソフト・ランディングできた結果、インフレが3%まで上ぶれたとしよう。
かなりハッピーなシナリオだが、こういうシナリオを設定する価値は高い。
インフレが10%になるようなら、そもそも将来を思い描くことができないだろう。
まさにカタストロフィーとなるからだ。
ならば、せめてハッピーなシナリオについてだけでも用意をしておこう。

皆さん、インフレ2-3%シナリオに向けて、資産運用していますか?