「需要の消滅」で混沌とする企業業績

未曾有の事態であるように思う。
長らく財務分析を生業にしてきた筆者にとって、未知の経済環境が訪れた。

連日、耳を疑う報道を目にする。
設備投資が前年比4割減になったなどだ。
しかし、このような経済統計は、2月遅れの情報であることに注意したい。
事態は、はるかに深刻だ。

最近、企業経営者の困惑する姿によく出くわす。
それは、業績が傾いていることに対する困惑というより、経験したことのない状況に直面したことに対する困惑のように感じられる。

引き合いが消滅しました(引き合いが全くなくなったということ)
引き合いがないから受注予算が立てられません
10月の受注は前月比の半減、11月は10月の半分以下
減った受注がキャンセルされていく
自動車メーカが、下請け会社らに、設備投資凍結を要請している
失注の原因は、単に顧客の需要が消滅したため

などといった悲鳴が聞こえてくる。

HSCIでは、最近の円高が輸出を阻害し、国内経済の悪化に拍車をかけるのではと心配してきた。
しかし、事態ははるかに深刻らしい。
仮に円高でなくとも、ものが売れないということのようなのだ。
価格をどんなに下げようと、品質をどんなに上げようと、そもそも顧客の需要が消滅している。
その理由は、言うまでもなく、顧客の操業の急低下にある。

このような事態は、一時的なものなのか、ある程度、継続してしまうものなのか。
見極めは難しい。
一つ言えることは、今期の日本企業の業績が、大きな波乱要因を内包しているということ。
企業経営者は、引き合いの消滅により、受注予算さえ組めない状況にある。
実際には、引き合いがなくとも、受注は立つのだろう。
しかし、その金額を現時点で予想するのは至難の業だ。
予想ができないという理由で、企業は、現時点での業績予想の下方修正をためらっているように見える。

このような下方修正が発現するのは、第3四半期決算や通期決算が開示される直前になるのだろう。
そうだとすれば、1月末頃から、目を疑うような企業業績の落ち込みに直面するのかも知れない。