とりあえずは、素直に賞賛したい

JALの西松社長がバス通勤されていることが、米国で評判になっている。
プライベートジェットで政府の支援を要請しにワシントンへ出向く、Big Three経営者らとの対比のようだ。
確かに、政府からの莫大な資金援助を要請するのに、プライベートジェットというのはいただけない。
すでに、是正されたようだが、せめて、最初から、航空会社のファーストクラスにとどめておくべきだった。

筆者は、日本の金融危機の時、某邦銀のリスク管理部門で企画を担当していた。
いわば、日本の金融危機時、銀行の資産内容を最も良く知る立場で、銀行経営者と金融庁(当時は金融監督庁)、政府、与党がどのようなやりとりをするのかを、目の当たりにせざるを得ない立場に置かれていた。
邦銀が公的資金を申請するとき、それが、銀行自体にとって不本意なものであったとしても、世論の批判は免れない。
自行は公的資金を必要としていなくとも、公的資金を申請せざるを得ず、非難を浴びる状況だった。
さすがに頭取を電車通勤させるわけには行かなかったが、役付役員レベルでは、公用車を返上する人も多かった。
それは、一つの尊敬すべき見識だろう。

会社経営者を電車やバスで通勤させることは、よしあしだ。
特に会社経営が苦しい環境では、労働争議が活発化し、実力行使に出た組合の活動で、経営者が機動的に動けなくなってしまうこともありうる。
また、不心得者による凶行のようなリスクも勘案しなければならない。
だから、経営者が電車やバスで通勤されることを手放しでは喜べない。
しかし、少なくとも、その高いモラル意識は、賞賛したい。

経営者の手腕は、通勤の手段で評価されるべきではない。
企業の業績を向上させつつ、企業のステークホルダーの幸福をもたらすことによって、経営者の手腕は評価されるべきだ。
それは分かりつつも、経営者の皆さんには、業績の以前の前提条件として、高いモラルを期待したい。