【小噺】堅実な3兄弟

十数年前のお話ですが、あるお金持ちの夫婦に3人の息子がおったそうな。

両親は財を成していたが、子供たちは節度と通常の金銭感覚を持った大人になるよう厳格に育てていた。
3人の息子が大学生になったある年、両親は3人に多めのお年玉を上げることにした。
1人百万円だ。
3人はそれぞれ東京に下宿して大学に通っていたから、大喜びだ。

大学3年生の長男
「百万円あれば、5か月以上バイトしなくても、家賃を払ってゆったり暮らせるぞ!」

2年生の次男
「本当だ!
でも、僕はいくらか株を買っとこうかな。」

1年生の三男「そうだね。それがいい。」

長男
「何言ってんだ。
株なんてろくなもんがやることじゃない。」

3兄弟は両親から堅実な教育を受けていた。
そして、年子だったこともあり、互いに競争心を抱いていた。
結果、3人ともそれまでどおりバイトを続け、お年玉に手を付けることなく貯蓄に回したのだ。

長男は銀行預金。
次男と三男はよく考えた末にインデックスファンドを買った。

そして予期せぬことが起こった。
その後1年で、なんと100%のインフレが進行したのだ。
つまり、年初の100万円と同じ買物をしたければ、200万円かかることになってしまったのだ。

激動の1年が過ぎ、3人はお正月に帰省した。

長男は寡黙だった。

次男は少し浮かれ気味に言った。
「投資していたインデックスファンドが倍になったんだ。
時価が200万円になった。
僕はインフレでも損せずに済んだんだ。」

長男は悔しかったので、嫌みを言うしかなかった。
「ふん。どうせ株なんてそのうち暴落するさ。」

次男は何も言わず笑っていた。

三男が得意げに口を開いた。
「下がるといやなんで、僕は売ったばかりだよ。
暴落しても損することはないさ。」

長男は悔しかった。