一部でバズっている物価連動債、みんな本当に理解しているの?(債券投資の基本)
日本が先進国で高インフレのグループに入ったことで、物価連動債への関心が高まっているようだ。
しかし、騒いでいる人たちの中には、あまり債券投資について理解していない人も見受けられる。
ちょっとくどい話になるが、ヒマな人は聞いてほしい。
債券(特に固定金利のいわゆる名目債)も銀行預金も償還期限・満期日まで持っていた場合のリターンが決まっているという意味でフィクストインカム商品の典型だ。
しかし、その商品仕様には1つ異なる点がある。
原則として債券は買う場合も売る場合も時価でのやり取りとなる。
一方、多くの円の定期預金(や個人向け変動金利国債など)は途中解約しても元本+低めの利息で回収できることが多い。
このため、定期預金に対し投資家はあまり時価を意識しない。
これが、預金しかしない投資家の金融リテラシーを低める原因になっているように思える。
定期預金と債券の違い
例えば、3年もの定期預金を例に考えよう。
ある人が利率0.5%の3年もの定期預金にお金を預けたとする。
0.5%は3年間変わらない利率だ。
ところが、預け入れから1年が経ったところ、市場の金利が上昇したとする。
2年ものの利率が1.0%になったとする。
この時、リテラシーのある投資家は、この定期預金の時価が下がったのではないかと考える。
今から2年間預けるなら年1.0%が得られるはずなのに、自分の預金は年0.5%しか得られないからだ。
これが時価の考え方だ。
リテラシーのある投資家は、時価の概念があるか否かにかかわらず、次にこう考える。
もしも、この預金を解約して、あらためて2年ものに預けたら、解約しない場合より得なのか否か?
解約では過去の金利が下げられたり、さらにペナルティが課されたりすることがあるので、慎重に比較することになる。
仮に金利の引き下げやペナルティが小さいなら、それほど時価が下がってはいなかったことになる。
結果、預け直す方が有利なら、そうするかもしれない。
仮に金利の引き下げやペナルティが大きいなら、やはり(特に預け直しの場合の)時価が下がったのだと認識することになる。
結果、預け直すのがかえって不利になってしまうかもしれない。
名目債の場合、これと同じことが常に意識される。
日々、時価が推計可能で、投資家は瞬時に買い替えの損得が判断できるわけだ。
時価、あるいは時価への評価替え(マーク・ツゥー・マーケット)は、適切な意思決定を簡単・迅速に下すための工夫なのである。
フィクストインカムについてまとめると
- 購入時の利回りより日々の利回りが上昇すると、キャピタルロス(含み損)が発生する。
- 逆に低下すると、キャピタルゲイン(含み益)が発生する。
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