【書評】国債暴落 日本は生き残れるのか

みずほ総研の高田創氏が書いた日本国債と金融・財政政策についての本。
読みやすい本ではないが、その分とにかく緻密である。

【送料無料】国債暴落 [ 高田創 ]

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署名とは異なり、極めて冷静な本だ。
世間で心配されている国債暴落について、起こりうるし、回避もしうるというふうに書かれている。
まったくそのとおりだろう。

また、異次元緩和についても、冷静かつ端的な見方を披露する。
大恐慌後の米国で取られたPegging政策に例えつつ:
 ・(言葉には出せないが)円安誘導
 ・将来の金利上昇の抑圧
が目的であると言い切る。
当たり前の話だが、こういうオーソドックスなことを言って、人から聞いてもらえるところがすごい。

 
緻密な本である。
したがって、辞書のような使い方ができる。

国債の暴落要因となりうるものとして
 1.財政赤字
 2.格付の悪化
 3.銀行などの保有者による売却
 4.海外投資の増加
 5.海外投資家による売却
 6.異次元緩和によるインフレ圧力による金利上昇
 7.国債大量発行によるクラウディング・アウト
 8.ディスインターミディエーション(貯蓄から投資へ)
 9.新たな投資先が生まれ、資金需要が増す
 10.米金利などの大きな上昇
が挙げられている。
日々のチェックリストとして最適だ。
それほどに正統的で網羅的な本である。