バーナンキ:中長期金利ターゲティングは抜いてはいけない宝刀

QEとの違い

量的緩和との違いはこうだ。

  • 量的緩和: 買い入れる金額を決めて金利が下がるのを願う
  • 中長期金利目標: 着地の金利を決めて達成まで買い上げる

中長期金利目標では(金利への)効果が保証されているが、政策の代償(買い入れ金額≒バランスシート膨張)が限定されない。
代償を最小にするために、フォワード・ガイダンスが役立つという説明だ。
もちろん、金利ペッグは量的緩和との併用が可能である。

抜いてはいけない宝刀

バーナンキ氏は、短期金利がゼロの環境下で、中長期金利目標が有用な追加的手段になりうると結論している。
「金利ペッグの宣言には強力なシグナリング効果がある」とし、市場の期待醸成に寄与するためだ。
一方、金利ペッグには、フォワード・ガイダンスと似た限界も存在する:

  • 長い年限の金利への効果が比較的小さい
  • 短めのホライズンでも、信頼性のある、短期金利と整合的な政策経路と擦り合っている必要がある

日銀のサプライズ重視とは正反対で、FRBはあくまで期待を裏切らないのを常としているのである。

繰り返しになるが、この手段は(マイナス金利政策とともに)、期待を醸成するためのものとバーナンキ氏は考えている。
手法が有用であると示すことで期待を醸成、政策目標を達成することで、この手法が実際には実施されないで終わるべきと考えているのである。
この手法は、思うように効果が上がらなければ、(対象国債が市中になくなるまで)際限なく中央銀行のバランスシートを拡大してしまう。
最悪なのは、市場からの信認が足りず、バランスシートが過大に拡大してしまい、途中で頓挫することだろう。
頓挫すれば、期待はそこで剥がれ落ち、厳しい巻き戻しに苦しみかねないのだ。

(出典)
1) Ben S. Bernanke (2016/3/24), 「What tools does the Fed have left? Part 2: Targeting longer-term interest rates」, http://www.brookings.edu/blogs/ben-bernanke/posts/2016/03/24-rate-pegs (参照3/25/2016)