【Wonkish】米国債格下げで気になるコト

フィッチによる米国債格下げを深刻に受け止めた人は少なかったはずで、その後の市場にもそれは表れている。
でも1つ細かすぎるが気になるコトがなくはない。

世の中には心配すべきでないことがあり、これはその1つだ。
だからといって、フィッチが喚起した懸念が正当でないというわけではない。
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連邦政府が今やっていることの全てに賛同はしないが、それによって米国債やドルに対する見方は変わらない。

米国債格下げについてウォーレン・バフェット氏がCNBCに寄せたコメントだ。
要約をCNBCキャスターが伝える形で紹介されている。
世間ではオマハの賢人のコメントを喜んで引用し、不安を払拭しようとする報道が目立った。
ただ、このコメントからバフェット氏の真意ははっきりしない。

バフェット氏がよく使う話法を思い出せば、1文目の意味が2通り考えられることに気づくだろう。
多くの人が信じたがっているのが、米国債は心配ない、という意味。
もう1つの意味は、投資家が米国債の信用について心配しても利益がない、という意味だ。
わからないこと、対応できないことにはくよくよするなという意味だ。
もちろん、米国債やドルが最も高く評価されている債券・通貨であるとの前提がある。

凋落には他の選択肢が必要

ある資産クラスや通貨が凋落するのに必要な条件は何か。
それらが劣化して魅力を失うだけではそれは起こらない。
他に選択肢が必要なのだ。
今のところ米国債や米ドルに変わるような選択肢はないから、米国債も米ドルも凋落はしない。
もちろん、他の国・地域の国債・通貨が信用・魅力のある自由な市場を形成すれば、事態は変わってくるだろう。

今回のフィッチによる格下げは、それによって何かが起こるような話ではない。
米国債(や米ドル)の信用度が悪化しつつあることの表れにすぎない。
その意味で、今心配する必要はないが、じわじわくる心配はあるわけだ。
それは、バフェット氏のコメントにも滲み出ている。

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