【書評】 世界経済の潮流 – 2015年上半期 世界経済報告 2015年I

内閣府による半期に一度の世界経済に関する報告書。
2005年上期のテーマはズバリ原油だ。

副題は「原油価格下落と世界経済 – メリットとリスクの総点検」

今、原油価格下落が世界経済の不安定要因となっている。
あなたが原油と経済の関係について知りたいなら、まず、この白書を読んだらいい。
経済ごとに、実体経済や財政・金融等に与える影響が解説されている。

ここでは一つ、興味深いコラムを紹介しておこう。
「過去の類似する下落局面との比較」というものだ。
これを紹介する前に、私たちの相場観を確認しておきたい。
下記はWTI原油価格の推移だ。

原油価格(1998年?)

なるほど、前世紀の終わりから始まり、リーマン危機を挟んで実に長期にわたって上昇を続けていた。
そして、ここに来て大きく下落している。
今回の下落も、リーマン危機後のようにすぐに回復するものなのか。
多くの人の関心はそこにある。

1985-86年の急落

本書では、今回の下落を1985-86年の下落と比較検討している。
では、その頃の原油相場はどうだったのか。

原油価格(?1989年)

なるほど、この局面でも大きく下げている。
そこで、内閣府はこの時期と現在を比較しているのである。

(次ページ:暴落局面の要因比較)