【輪郭】「総括的な検証」で予想されること

シナリオB: 緩和強化

黒田総裁の頭の中に緩和強化があって「総括的な検証」をしたいと考えた可能性はどれだけあるだろう。
7月に追加緩和をして9月に追加緩和となれば、まさに黒田総裁が嫌う逐次投入になってしまう。

7月も一応ETF買入れ増額が決定されたし、政府は国債を増発することになるだろう。
その中で、あえて債券等の買入れを決めなかった。
一斉投入をするつもりなら、先日付でも債券等の買入れを増額してよかった。

マイナス金利についても、この半年を見る限り、期待通りの結果が出たとはいえまい。
むしろ、金融機関の機能不全を助長し、財務体質を弱めてしまった。
日銀とは、手足となる市中銀行がいるからこそ経済に影響を及ぼしうる組織だ。
市中銀行の悲鳴は、日銀にとって他人事ではない。
9月までにマイナス金利の効果についてよほどいい兆候が出てこない限り、マイナス金利だけをどんどん拡大していくという話にはなりにくい。

シナリオC: イールドカーブのスティープ化

今の日本や日銀の状況を考えれば、金融政策を反転させる選択肢は存在しない。
現状レベルの金融緩和効果を維持した上で、次の2点を実現しようと考えるはずだ。

  • 為替を円高にしない。できれば円安にする。
  • 信用創造を促すためにイールドカーブをスティーブ化する。

後者について、復習しておこう。
下図は、サブプライム危機前、リーマン危機直後、アベノミクス開始直後、現在のイールドカーブである。

イールドカーブの推移

徐々にフラット化し、今では10年までマイナスでまっ平らだ。
経済停滞という要因もあるが、量的緩和の果たした役割も大きい。

イールドカーブをスティープ化させないといけないワケ

銀行は貸出にあたってさまざまなリスクを取る。
それに見合うリターンは、上乗せ金利と長短スプレッドで取ることになる。
イールドカーブが平坦になれば、長短スプレッドは取れなくなる。
合計で十分なリターンが取れないと考えれば、貸出をしなくなってしまう。
イールドカーブは傾いていないといけないのだ。

イールドカーブを傾けるにはどうすればいいか。

  • 短期側は超過準備への付利(マイナス金利)で引き下げ
  • 長期側は長期国債買入れペースの変更で持ち上げ

などの組み合わせだろう。
国債買入れのペース変更については、QEテーパリングもありえるし、中長期金利ターゲティングもありえよう。
(金利を引き上げるプロセスでの中長期金利ターゲティングは比較的安全な方法だ。)

(次ページ: 長期金利上昇がもたらすもの)