【輪郭】「総括的な検証」で予想されること

長期金利上昇は何をもたらすか

長期金利の上昇は、経済に何を及ぼすだろう。

実体経済への影響はさほど大きくないだろう。
一部のセクターを除けば、長期(例えば7年超)で調達できる企業はさほど多くない。
また、投資採算を検討するのに長期金利をそのまま用いる企業もあるまい。
企業は、すでに長期金利を市場性のある金利指標とは考えていない。

金融経済への影響は大きいだろう。
デュレーションが中長期の金融資産は価格下落に見舞われる。
一時的な急落を防ぐため、日銀はスティープ化とセットで短中期ゾーンの債券等やETFの買入れを増やすことになろう。

もう一つ忘れてはいけないのが公共セクターだ。
仮に長期金利が1%上昇すれば、政府は久しぶりに利払い負担を感じるようになるだろう。
これは、将来の財政政策の制約となりうる。

もともとこの差は、政府が民間からかすめ取ったものと言えなくもない。
長期金利が1%上昇すれば、かすめ取られた儲け口が例えば金融機関に戻ってくる。
銀行・保険などの収益が回復し、金融株がにぎわうことになろう。

いろんな意味での期待を込めて、シナリオA + Cを予想したい。

なお、外債買入れなども度々噂されてきたが、昨今の日米間の為替にまつわる軋轢を見る限り、大規模なものとはなりえないだろう。


山田泰史山田 泰史
横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部化学科卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

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