【書評】チャートで見る株式市場

Fisher InvestmentsのCEO、ケン・フィッシャー氏が米市場のサイクル・アノマリーを綴った本。
原著の出版年が2008年と少し古いが、いまでも電子書籍ならば入手できる。

「200年の歴史、過去は未来を予言する!」と検索エンジン対策のように長いサブ・タイトルがついている。
要は、現在の経済状況が過去のいつ頃に似ているかという興味に対してヒントを与えてくれる本だ。
最近、景気サイクルの議論がさかんだから、楽しんで読めるかもしれない。

先に断っておくが、並みの投資家にはマーケット・タイミング戦略で安定したリターンを得るのは不可能だ。
だから、市場の動きを予想しようとしてはいけない。
並みの投資家に可能なのは、確率を知ることと、明らかな間違いを回避することだけだ。
その前提の上で、本書から失業率「1%ルール」を紹介しよう。

失業率と景気後退

フィッシャー氏は米失業率のグラフからある法則を読み取る。

20歳以上の米失業率(灰色は景気後退期)
20歳以上の米失業率(灰色は景気後退期)

過去、米失業率が1%上昇した場合、例外なく米景気は後退期に入っているという法則だ。
これは特段驚くにはあたらない。
景気後退期を認定する上で、失業率が重要な指標とされているからだ。
ここまでは経済学者の議論であり、ここからが市場参加者の議論になる。
では、失業率と米国株市場の関係はどうなっているのか。

失業率と株価の「1%ルール」

フィッシャー氏の「1%ルール」とはこうなる。

マーケットの底を利用したければ、失業率がまるまる1%上がったときに100%投資した状態にしておく、というルールだ。

米失業率(青、左)と株価(ダウ平均、赤、右)-1960年代
米失業率(青、左)と株価(ダウ平均、赤、右)-1960年代

上のグラフで検証しよう。
フィッシャー氏は、青(失業率)が底から1%上昇した時、赤(株価)が概ね底を打っていると言いたいのだ。
これは、景気後退よりわずかに失業率が先行し、さらにそれより株価が先行する傾向によるものだ。
失業率が本格上昇を始めた時、株式市場は先行して底を打つという経験則である。

米失業率(青、左)と株価(Wilshire 5000、赤、右)1970-90年代
米失業率(青、左)と株価(Wilshire 5000、赤、右)1970-90年代

1970-90年代でも概ね成り立っているようだ。

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